野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Memu作曲/うたづくり/宮田篤/奥田扇久/オンライントーク

12月に、北海道のMemu Earth Labで2週間のレジデンスをした。あれから1ヶ月が経ち、少しずつ作曲を始めている。今は、現地で大自然の中、里村さんに撮ってもらった写真をプリントアウトして、写真を楽譜として解読して演奏する、ということをしている。石の並びを音符と見たり、鳥の巣の穴を音符と見たり、氷の結晶を音符としたりしている。それをピアノで弾いて、自分なりの音楽に変換させていく作業。面白い。

 

続いて、里村さんと作詞/作曲をして歌を作った。こちらは、とあるアートプロジェクトに関連して。コロナで大人数で同時に歌を歌うことが難しい時代だ。オンラインで音楽をすることはいっぱいやっている。実験的にずれ合う歌だったら、リモートでもできる。でも、普通の歌をユニゾンで歌う。それにピアノで伴奏するのは、絶望的に難しい。逆に、「世界のしょうない」でやった「ケチャ」なんかは、ずらそうとしなくてもズレが生まれて面白い。

 

1月24日の「世界だじゃれ音Line音楽祭Day4」に向けて、事務局とゲストとの打ち合わせ。昨日は、安野太郎さん、Simon Rummelさんとの打ち合わせ。今日の一人目は、宮田篤さん(美術家)。10年前にえずこホールで行った「らくがっき」は、楽に楽器を描ける絵描き歌であり、その絵が実は楽に作曲できる作曲歌である。なかなか紹介する機会がなかったので、オンラインでの配信にも向いているし、今回、紹介しようと思った。10年前なので宮田君が忘れているところもあり、うろ覚えで描くのも面白い。そこで、「思い出せ!らくがっき」と題して、うろ覚えから始まって、答え合わせをしていくクイズ形式も取り入れる予定。そして、宮田くんは、だじゃれでアート作品を作っていて、彼や山中カメラなど、だじゃれで作品をつくることにぼくは影響を受けて、だじゃれ音楽を開始した。だじゃれが如何にアイディアの宝庫になり得るか、発想の転換になり得るかについてのトークもする予定。

 

続いて、第4のゲストは、30年以上の付き合いである奥田扇久さん(創作ひょうたん楽器奏者)。ぼくが大学生だった1989年に出会い、ジョン・ケージ京都賞を記念して行った「ケージバン」で《三輪車と丸太ん棒》で共演して以来、数多くの共演をしてきた奥田さんは、2019年にソロアルバムを発表。ひょうたんを栽培し、その瓢箪から様々な楽器をつくり、それを自由自在に我流で演奏するが、センスが抜群。今日も、リモートで様々な瓢箪楽器と共演してみて、ビジュアルもサウンドも、とてもユニーク。各地を旅をする中で、ぼくは数々の個性的なアーティストと出会ってきた。そうした個性的なアーティストをオンラインで次々に紹介できるのは、ちょっと嬉しいことだ。

 

1月24日は、

プログラム1 15:00-  安野太郎+野村誠

プログラム2 16:00-  宮田篤+野村誠

プログラム3 17:00-  Simon Rummel+野村誠

プログラム4 18:00-  奥田扇久+野村誠

 という4本立てになる予定。4つとも全然違って、どれもすごく面白いことになると思う。今年度は、数年間あたためてきて準備したプログラムがコロナで全くできなくなったが、その代わり急遽プログラムを大胆に変更して、短期間の準備でどんどん新企画を行った。通常では考えられないスピード感で実施できたこと、当初の予定と全然違うことができたこと、そして、それが非常に面白いこと、このことの意味については、またじっくり議論する場をいつか持ちたい。そして、そのことをコロナ後の世界にも活かしたいと思う。

 

その後、現代美術のオンラインイベントJPオンライントーク「コロナ禍のオンラインプレイヤーに聞く!」を聞く。音まち事務局の吉田さんも出演して、「世界だじゃれ音Line音楽祭」のことなど話してくれていて、舞台裏でのマネジメントのスリリングな転換を語っていくし、札幌国際芸術祭の中止にしたけれどもアーカイブを残す話も本当に面白く聞く。行われなかったプロジェクトの構想をアーティストに語ってもらうインタビューを残したり、行われなかった展覧会のカタログを作ったり。

 

こちら、クラウドファンディングやっていて、1000円で貢献できるので、ぜひ。

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