野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

商店街の洞窟探索/新しい音楽の生まれるところ

朝から寒いなと思ったら、外に雪が積もっていた。布団から出たくなくなる季節がやってきた。今朝は、すごい雪の十和田とリモートで繋がる時間で、十和田はやっぱり雪国だった。十和田市現代美術館の企画で、本来は問題行動トリオで公演をしに行く予定だったが、コロナで来年に延期になり、今はリモートで様々なリサーチをしている。

 

今日は、十和田市現代美術館と縁の深い松本茶舗をリモートで訪ねた。里村さんが十和田市現代美術館に勤めていた頃に、松本茶舗をご紹介していただいて以来、お店なんだか展示室なんだか分からない不思議な空間に魅了されて来たし、里村さんの企画でエンリコとコンサートをした際には、松本茶舗の倉庫に眠る茶碗の数々をお借りしエンリコと演奏した。本日の主役は紛れもない松本茶舗の龍太郎さんであった(参加は、問題行動トリオの砂連尾さん、佐久間さん、里村さん、美術館の中川さん)。店内にある栗林隆、藤浩志、毛利悠子などの作品、古い地下室、160年前の写真などなど、店舗の空間を少し入るだけで洞窟の奥深くに入り込んでいくようなスリリングな体験。このお店でパフォーマンスができる日が来年来ますようにと祈る。

 

午後、区役所に出かける。生ゴミコンポストを買うお金の半額を京都市が払ってくれる助成金があると知り、せっかく使える仕組みだから活用してみようと思い、申請手続きを教わりに。生ゴミを堆肥にできるのは嬉しい。

 

ピアノの練習で、メシアンと野村作品ばかり練習していても飽きるので、ヒンデミットのLudus Tonalisの楽譜を購入した。「音の遊び」というタイトルで、「対位法・調性およびピアノ奏法の練習」という副題を持つバッハの「平均律」を模した曲集は、弾いてみると、どういう法則性があるのか、どういう仕組みで作曲したのか、ぼくには想像できないので新鮮。変な曲だなぁ。どういう感性だと、こういう音の並びになり、こういう音の響きになるのだろう?不思議だ。

 

夕方、おおいた障がい者芸術文化支援センターの立花さん、吐合さんと九州大学の長津さんと打ち合わせ。「新しい音楽が生まれるところ」という講座の講師を、長津くんと野村で担当する。なかなか「新しい音楽が生まれるところ」という講座名はレアだと思うが、ストレートに表現されていていい。長津くんは九州大学の先生であり、アーツマネジメントの研究者であるが、実は彼は音楽家でもある。ピアノを弾くし、今週末には演劇の音楽だって担当する。だから、長津くんと「新しい音楽が生まれるところ」というタイトルで講座をやるのは、アートと社会包摂などの分野での研究者として知られている長津くんの知られざる部分が光る講座になるのかもしれない。でも、九州大学の授業では、いつも「新しい音楽が生まれるところ」をやりまくっているのかもしれない。そんな長津くんと一緒に、「新しい音楽が生まれるところ」を真剣に考えたり遊んだりする2時間を過ごすのは非常に楽しみ。センターの立花さんと吐合さんも、面白い空気感を持っていて、一緒にお仕事できるのは楽しみ。

 

夜は、JACSHAのプチリモート会合で、今日はプチなので、3時間半くらい話した。相撲と音楽の話だけでなく、経済の話まで、いろいろ話した。相撲に聞きながら、経済も社会も、いろいろ見つけていきたい。