野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Memu Earth Labレジデンス5日目/川と流木

Memu Earth Labのレジデンス5日目。十勝平野の南東部にある大樹町の芽武の広大な敷地にいると、京都の生活では巨大と思うような物も巨大とは思わない感覚になってくる。今朝は、この数日で出会った物の中から、格別魅力的なビジュアルで魅力的な音色だった物を運び、違う風景の中で、体感してみた。移動すること、旅をすること、同じものが場所を変えることで違う文脈になること、そうしたことを考えながらの時間。有さんの車で、とかち帯広空港まで移動し、有さんは東京に戻って行った。彼との濃密な5日間で語り合ったこと、体験したことを、これからどのように熟成させていくのか、そんなことを思いながら、有さんと別れ、里村さんと帯広市内に空港バスで移動。レンタカーを借り、馬の資料館の展示を見て、食材など購入の後、ばんえい競馬を見る。重たい荷物を積んで物を引く輓馬による競争。途中で2回坂を上り下りする。ゴール間近になりへばって失速している馬が鞭打たれる様子は痛々しい。帯広市内から芽武まで車で戻る。地図で見ると最寄の都市と思っていたが、京都から神戸くらいの距離、鳥取から城崎に行くくらいの距離で、北海道の大きさを改めて思い知る。芽武に戻ってから、里村さんとミーティング。明日以降の方針を考える。芽武という場所で発想すること。外部から来た者は、その地域の特色、その地域の課題や可能性、社会構造、経済構造、そこに行かないと知り得ないユニークな試み、その土地ならではの風土、特産、様々な地域資源などなどに、敏感に反応する。ぼくの場合は、この場所を音を奏でること、そして聞くことで、リサーチしていく。そして、歴舟川を旅する流木の物語に興味を抱く。雪解け水で増水すると勢いよく流れるし、冬になると凍る。水量の変化が激しく、途中でダムもなく、鮭が上流まで上っていく川を、流木は海まで下っていく。流木は、どんな旅をするのだろう?この川について、木と川の関わりについて、人と木と川の関わりについて、音楽という切り口から、もう少し探ってみたいと思った。