野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Memu Earth Labレジデンス3日目/「世界だじゃれ音Line音楽祭Day2」

Memu Earth Labのレジデンス3日目で、「世界だじゃれ音Line音楽祭」のDay2。

 

午前中は海へ。擦文時代(7世紀〜13世紀ごろ)の擦文遺跡の擦文式住居跡の穴がいっぱいあるところを歩き、海に出ると、巨大な流木が数多く流れ着いているところに出る。浜辺を歩くと、波で打ち上げられた石が、絵巻物のように海岸に沿って配置されていて、それを楽譜のようにも見える。浜辺の石の楽譜を鍵盤ハーモニカで演奏しながら進むと、時々、小石が多い場面になったり、石の配置の絵柄が変わったりして、音楽が自然に変わっていく。ホロカヤントウという沼に鳥がいて、その鳥に向かって鍵盤ハーモニカを演奏してみた。鳥が少しずつ沼に集まってくる。巨大な流木の上に登り、杖のような流木で弾ませながら演奏する。古代の人はこんな風に流木の音楽を奏でたのではないかと思う。これを何人もでやってみたい。里村さんや森下さんにも加わってもらうと、単純な行為が重なり合ってアンサンブルになる。粘土質の地層が波で削られて独特な自然の造形が形作られる。そこでも鍵盤ハーモニカを奏でてみた。海岸には、狐やクマの足跡があるが、人間の足跡はなく、そこに足跡をつけていく。まだクマが冬眠する前なので、クマには気をつける上でも楽器を鳴らすのはいいのかもしれない。

 

「世界だじゃれ音Line音楽祭」Day2開催。Day1では、オンラインで可能な音楽ということで、カーテン、掃除機、本、ヌードル、ぬいぐるみなど、いわゆる楽器でのアンサンブルではなく、日用品が数多く登場した。Day2では、楽器でもオンラインで大人数のアンサンブルが成立するということを目指して、準備してきた。そして、今日は、その中でも、最初にオンラインで実現できそうな楽器として、鍵盤ハーモニカ、撥弦楽器で試み、手応えを感じる1日だった。

 

13:00-13:40、『鍵盤ハーモニカ・イントロダクション』をやって参加型で行う。そして、新曲『ケンハモや 黒う白っと 秋の虫』を20人ほどで演奏。オンラインで世界初演。面白い音響がいっぱい。清水友美さんのコンサート会場とも中継でセッション。

 

14:00-15:00で、森下さんの案内で、Memu Earth Hotelを見学。建築のコンペで選ばれたものが実際に建てられていて、かなり奇想天外な建築が立っていて、馬と共存する家だったり、(外壁がない)寒さを体感する家だったり。

 

https://memuearthlab.jp/2020/05/12/architecture-competions/

https://memuearthlab.jp/2020/05/12/architecture-competions/

 

16:00-16:40 「世界だじゃれ音Line音楽祭Day2」のはじく弦楽器(撥弦楽器)。ゲストは福島青衣子さん(ハープ)。福島さんのハープの演奏を聞かせていただいて後、参加者の音(ギター、ウクレレ三線、月琴、レギオン、紙コップ一絃琴、バンジョリンなど)も聞かせていただき、全員で時計の秒針に合わせて演奏。これが不思議なグルーヴ。続いて、指揮に合わせて演奏。アフリカ音楽をやってみる(ソラシドレミ+ファ#で自由に演奏)。プリペアドハープ、弦に色々挟んでみよう。そして、30秒間に2回だけ音を出す。までやった後、セネガル人のコラ奏者とフランス人ハープ奏者が突如スペシャルゲスト登場で、コラを実演+歌でアフリカ音楽鑑賞の後、アフリカ音楽セッションにみんなで参加。最後は、ビデオをオンにしたりオフにしたりしながら、いろいろな弦楽器がアフリカとセッションした。

 

19:00-19:40は、「世界だじゃれ音Line音楽祭Day2」のフィナーレで、イギリス、ドイツ、マレーシアからも参加があり、『鍵盤ハーモニカ・イントロダクション』、『ケンハモや 黒う白っと 秋の虫』をやる。一人、スピーカーがハウリングしている人がいて、それだったら、そのディレイを生かした曲をやることにして、リーダーの真似をして遅れて音を出すゲームをした。そうすることで、ハウリングしていても成立する音響になった。みなさんで自由に音を出してもらったら、ファ、ソ、ラ♭、ド、レ♭で演奏している人がいて印象的だったので、この音階で自由に演奏して演歌なサウンドに。その後、自由にABCDEFGをチャットに書いて作曲。最後に、『ケンハモや 黒う白っと 秋の虫』をやっておしまい。色々、国際色豊かに関わりあうことができて、楽しい時間だった。

 

ということで、Day3では、エレクトロニクスなど、Day1、Day2とも違う領域に、もう一歩踏み込んでみたい。