「TAMミーティング2020」に登壇した。90分という短い時間だったけれども、若林朋子さん、竹内雅挙さん、柿塚拓真さんと、現状報告と今後に向けての可能性の一端を示すことができたのでは、と思う。動画のアーカイブが近々公開になるようなので、公開になったら、このブログでも紹介する予定。
竹内さんの「歌を諦めないために」という言葉が耳に残った。covid-19の出現により「声を出す」行為は、飛沫感染の観点から最も嫌がられる行為となって、そんな中で合唱とかオペラとか歌というものが、真っ先にストップを強いられていく。何があっても地球上から歌は消えていかないと思うと同時に、「歌を諦めないために」という言葉を発するほどに、追い詰められている現状がある。
この7ヶ月の野村誠の遭遇した現実について報告した。はっきり言って、対面での仕事は一気になくなった。と同時に、オンラインで何ができるかを試行錯誤する日々が始まり、移動はないのに次々に国際交流プロジェクトが始まるし、在宅が増えて作曲の時間が増えて、作曲作品の数は増えるし、作曲作品はどんどんオンライン上で発表されたり、アーカイブが残ったりして、失うものがあると同時に、得るものも多かった。
柿塚さんのプレゼン内容は、既に知っていることが多いので、なかなか突っ込んだ質問がしにくかったが、「事務局主導じゃなく、楽団員が自主的にウェブコンサートを開始した」という部分が、やはり印象に残った。日本センチュリー交響楽団の楽団員が、それぞれの等身大でできることを考えて自主的に動いていること、そうした一人ひとりの細やかなアクションに光を当てていくような世界に生きていたい。
1月1日に今年の抱負で「脱皮」と書いたけれども、2020年は我々に脱皮を強いる年だった。今まで続けてきたやり方を全部捨て去るわけじゃないけれども、捨てて脱皮して新しい時代に突入していくことを強いられている。慣れた方法論を手放すのは怖いし、とっとと脱皮して新しいことにチャレンジするのも勇気がいるけれども、でも、こんな状況だと、一緒に試行錯誤してくれる仲間が得られる。今のうちに、色々試行錯誤して実験できる絶好のチャンスを与えられている。そういう意味で、大変だけれども面白い時代に生きているなぁ、先が見えないからワクワクするなぁ、という気持ちはある。先が見えないから、リスクもつきもので、細心の注意も必要だけれども、助け合いながら実験して乗り越えていける時代になったら、新しい表現スタイルがいっぱい生まれてくる転換期になり得るので、やっぱり、ワクワクするな。だから、そうしたワクワクにブレーキをかけすぎないアートマネジメント、そうしたワクワクを生かすマネジメント、それを探っていきたい。今の大きな課題じゃ!
とりあえず、いっぱい話して興奮してる。みなさん、貴重なお話と時間をありがとう!
ところで、おととい、長津結一郎さんのこと書いたけれども、彼のドラマトゥルク記録が、ウェブ上にあって、面白いので、興味ある人は読んでみてください。