野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

《Etude for ZOOM session 5&6》試演

城崎国際アートセンターでのレジデンスが明日からに迫っている。大相撲秋場所は、今日が千秋楽。今朝もしっかり1000回四股を踏んで始まる。

 

昨日、作曲が完了した新曲《Chant for Sleep》について、キュレーターのDayangから確認がくる。新曲には、必ず声を使う場面があること、と条件づけられてたのは、満たしているか、と。声は全く入れてなくて、純粋にピアノだけにして、それにダンスの映像を合わせるけれども、声は入っていない。ということで、作曲再開。いろいろ試行錯誤した結果、声を少しだけ入れることになり、その方が断然、曲がよくなった。ありがとう、ダヤン。

 

今日は、10月31日から始まる「千住の1010人 from 2020年 世界だじゃれ音line音楽祭」に向けて、だじゃ研(=だじゃれ音楽研究会)とのZOOMジッケン!三連発!!!

まずは、撥弦楽器。ギター、ウクレレ大正琴など。「背景雑音の除去」を無効化しないと、大抵の楽器は音が消されてしまうか、音色が損なわれてしまうのだが、ギターやウクレレでは、「背景雑音の除去」を自動にしたままの方が、アンサンブルがしやすかった。他の楽器と圧倒的に違う。大正琴は音色のせいか、ZOOMで聞こえやすいようだ。

 

続いて、ピアノ。ギターやウクレレが弦を弾く楽器だとすれば、ピアノだって弦を叩いて発音しているので、同じ設定でいいのでは、と思うのだが、全く違った。やはり「背景雑音の除去」を無効化しないと、ピアノの持ち味が出ない。逆に、それさえしておけば、合奏は可能。ただし、一人でたくさんの音を鳴らせる楽器なので、あまり鳴らし過ぎると、飽和してしまうので、弾きすぎはほどほどに。先月、ZOOMのために作曲した《Etude for ZOOM session 5》を6台ピアノで演奏してみて、なかなかいい感じでできた。25台ピアノも実現してみたい。《Etude for ZOOM session 6》のタイムラグのラグタイムもやってみた。面白い。通常、6台ピアノなんて、なかなかできない(1994年に京大西部講堂で発表した《大温室》では、6台ピアノを含む30人強のアンサンブルをやったけど)。

 

最後は、打楽器の実験。打楽器は、「背景雑音の除去」を自動にしていたら、音が見事に消される。だから、これを無効化しないと合奏にならない。ジェンベの音が、ディストーションみたいな音になって、すごく面白い。ジェンベは、マイクで集音して音を変調しても、通常だったら、楽器自体の音が大きいので、エフェクトの音だけを楽しむことはできない。ところが、ZOOMでは、本人にだけ楽器そのものの音が聞こえて、我々がZOOMで変調された音だけを聞くので、ディストーション・ジェンベの音を楽しめる。他の太鼓は、ここまで面白く変調はされなかった。最後は、パンデイロ、ジェンベ、ダルブッカ、アゴゴベル、コップ、グンデル、カスタネットなど、いろいろな打楽器が入り乱れるドラミング。面白かった。

 

ミーティングが終わって、大相撲の千秋楽の優勝の行方を観戦。関脇正代が13勝2敗で見事初優勝。両大関を倒しての優勝で、大関に昇進するのだろう。おめでとう。

 

調律師の上野さんと電話での打ち合わせなどをして後、作曲家のFranesca Le Loheの誘いで集まった「Sound and Word Network」のオンライン会議。作曲家、サウンドアーティスト、作家など、約10人が集う。いきなり、フランの趣旨説明ののち、5人ずつ別室に分けられ、そこで自己紹介したりして、見ず知らずの人たちと交流をし、また部屋替えして、また見ず知らずの人たちと交流。いきなりこうして交流して話し合うのは、びっくりするけれども面白い。ヨーロッパはお昼だけれども、日本や台湾は夜。これから、どんな展開になっていくのか。

 

明日からのレジデンスに向けて、荷造り。香港で買った中国系の打楽器はいっぱい持っていこう。