野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

《あやしいサーカス団 Les Six 2020》レコーディング完了

web版こどもアートサーカス2020の最終日。朝10時より、野尻小矢佳さんの「一緒に音探し&ズレズレセッション」。ジャンベの演奏から始まり、ボディパーカッションや、プリンのカップや新聞紙。いろいろな打楽器の音とリズムを楽しんで後、中川賢一さんを呼び込み、バラフォンとピアノで「あやしいサーカス団 Les Six 2020」を演奏したり、なんちゃってSteve Reichをやったりして後、みんなでずれずれセッション。45分の楽しいセッションだった。

 

11時半から、野村のワークショップ「ビックリ!ズッコケ!けんばんハーモニカ」。募集の文句に、おでこで演奏しても、体操しながら演奏してもいいと書いておいたので、楽譜でレッスンしてくれると勘違いして参加している人はいない。みんなでケンハモで自由に音を出すのも、なかなか良いし、音の宿題も、いろんな音があった。せっかくなので、鍵盤ハーモニカイントロダクションも披露した。ZOOMの向こうの子どもたちは一体何階に住んでいるのだろうと思って質問すると、2階、4階、6階、1階、11階、1階といろんな階があった。この2階、4階、6階、1階、11階、1階を演奏できないだろうか?一番低い音を1階にして演奏するか。2階がソ、4階がシ、6階がレ、1階がファ、11階が高いシ、なんてやってみたが、意外に難しい。じゃあ、もっと目分量でやろう。この辺が2階、ここは11階、じゃあ、一番高い音は屋上。1階から屋上までエレベーターで昇る。屋上がら1階にエレベーターで降りる。おっ、階段でのぼる。階段でおりる。おっ、1階と屋上をワープする。そんな演奏が出てきたところで、あやしいサーカス団6人組の音楽家も勢揃いして、みんなでエレベーターの音やワープや冒険の演奏をして、6人組には「あやしいサーカス団 Les Six 2020」を演奏してもらい、子どもたちが自由に即興で吹きながら各自の家を練り歩く。途中、弟の頭でケンハモを演奏しようとした子もいた。「頭で黒鍵を演奏」を自分じゃなくて、他人の頭を使うところが面白い。リモートで練り歩く大セッション。「思いっきり吹けて楽しかった」と感想ももらった。ぼくらも楽しかった。どうもありがとう。あっという間の45分だった。10分休憩挟んで第2ラウンドに突入できたら、なお楽しいだろうなぁ。

 

午後は撮影とレコーディング。「あやしいサーカス団 Les Six 2020」の演奏風景の撮影があり、短いインタビューがあって、撮影クルーがおかえりに。記録映像もすごく楽しみ。ありがとう。

 

そのまま「あやしいサーカス団 Les Six 2020」のレコーディングで3テイクとって、最後のテイクが採用になって後、昨日の「それぞれのおはなし」の17曲を聞き直すと、ほとんど全部OK。若干、補足すべきテイクをいくつか収録の後、「みんなのぼうけん」という声の収録や効果音を収録して、アニメのためのレコーディングは全て終了。あとは、有馬純寿さんがミックス作業とシンセで効果音など追加の後、古国府さんのアニメの完成版と合体して最後の微調整などがあって、9月上旬には動画公開の予定。みんなで記念撮影などをして後、京都に戻る。

 

今回のピアノ、歌、打楽器、ケンハモ、ハープ、エレクトロニクスという編成の6人は、素晴らしい演奏家たちであり、即興に縁が少ないクラシック分野の人が多いにも関わらず、即興に抵抗がなく楽しんで柔軟に遊んでくれた。クラシックの古典をしっかり学んだ音楽家が、即興やワークショップに積極的に取り組むことは、鬼に金棒になるなぁ、と思った。譜面も初見でばんばん演奏できる上に、譜面がなくても即興で次々に遊べる。またやりたいなぁ。

 

京都に戻り、佐久間新さんのネット中継を一瞬見て後、五山送り火を見に船岡山に登った。通常と違って、ディスタンス送り火で、大文字山の大が点になっていて、星座のよう。左大文字や妙や法は、ただ一点。・で妙や法や大を表現するなんて!南天に並ぶ木星土星と、送り火が、繋がっているようでもあって、きっと二度とこんな変な送り火はないだろうし、見えない火を想像して楽しむ。貴重なものを見た。