野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

瓦の音楽

日帰りで淡路島に行く。「瓦の音楽」は、2013年に音楽家のやぶくみこさん、NPO法人淡路島アートセンターと始めた。2013年は淡路島をリサーチする中、瓦産業に興味を持ち、瓦を楽器とする「瓦の音楽」を立ち上げ、2014年には、広島市現代美術館で瓦400枚ほどを使ったサウンドインスタレーション「スーパーがっきやね」などを展示。2015年には、CD「瓦の音楽」を発表し、「瓦の音楽」の拠点ともなるスペース琴屋がスタート。2016年にはインドネシアツアーとイタリアツアー。ここまでが怒涛の4年間。

 

2017年以降、淡路島アートセンターが常勤のスタッフがいなくなり、活動が停滞し始める中、年に一度ずつ尼崎市でコンサートを開催。野村とやぶを招聘する予算がない中、有住さんご夫妻や青木さんなど、地元の方々で「瓦の音楽」を継続。2020年に、日本最大の瓦産地の高浜のかわら美術館で「瓦の音楽」コンサートを開催し、初の淡路瓦と三州瓦の共演。

 

こんな中、8月8日の屋根の日のイベントに、再び、「瓦の音楽」が愛知県の高浜のかわら美術館に招聘されることになった。新型コロナウイルスが猛威を奮う中、学芸員の後藤さんの熱い思いがあり、なんとか開催を実現しようと準備が進んでいる。

 

会議ファシリテーターのパイオニアでもある淡路島アートセンターの青木さんの事務所でかわら美術館の後藤さんとオンラインでミーティング。その後、淡路島アートセンターのやまぐちさんや青木家の方々とのランチ。さらに、琴屋にて、有住さん夫妻が加わってのリハーサル。幕末の庄屋で琴屋の由来にもなった古東領左衛門に関する紙芝居が、実は生まれている。地元の人々から最初は怪しまれていた「瓦の音楽」だが、CDを作って冊子を作ったあたりで、だんだん地元の方々が「瓦の音楽」が一つのきっかけとなり、津井活性化委員会を結成し、地元の瓦工場の人々によるプロジェクトが立ち上がっていく。その中で、地元の名士である古東領左衛門に関するリサーチプロジェクトが立ち上がり、登里制瓦の登里さんが原作で、瓦職人さんが紙芝居を描き、地元の音楽家の有住さんがギターで弾き語り、オリジナル紙芝居ができあがり、何度も上演しているとのこと。素晴らしい。リハーサルを、登里さんも見学に来られた。

 

淡路島の津井で活動する方々、京都からプロジェクトに関わる音楽家のやぶさん、野村、そして、三河のかわら美術館、この3者の思いや思惑が結びついて、8月8日のコンサート。2週間後に無事、実現できることを祈り、京都に戻る。