野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

心の中で歌う

今朝の「四股1000」で、コントラバス奏者の四戸さんが「ワニのオーケストラ入門」の指揮者の項目を音読してくれた。感想戦で指揮者の話でも盛り上がった。

 

今週は、作曲。現在のテーマは、熱田神宮の「踏歌神事」。疫病や邪気を祓うための神事を思う中、四股や相撲から、「踏歌」について考えるようになり、それが大陸から伝来した踏歌ともともとあった歌垣が融合していく。そうしたことを調べていく中で、現在、作曲中。

 

隠れキリシタングレゴリオ聖歌を心の中で歌いながら、伴奏として箏を弾いていたのが、「六段」だと言われる。今、この「踏歌神事」を心の中で歌いながら箏で伴奏する曲を作曲している。「心の中で歌う」は、現在のコロナ禍で歌うことを制限する教育委員会が音楽の授業では、心の中で歌うことを推奨したことでも知られ、松平敬さんが「心の中で歌う」という新曲を作曲した。で、今日は専ら「踏歌神事」の伴奏を作曲していた。そうして伴奏を作曲していくうちに、「踏歌神事」から本当に雄弁な歌が聞こえてきた。

 

夕方、鍵盤ハーモニカ五重奏のPーブロッの遠隔リハーサル。別にコンサートの予定があるわけではなく、2010年に開催したコンサートで、「次回超未定」と題して以来、10年間も活動がなかったが、10年ぶりのリハーサル。吉森くんがパソコンのOSの都合で参加がかなわず、しばてつ、鈴木潤林加奈と野村の4人でやってみた。まずは、野村が作曲してきた「バスに合わせて」をやってみるが、思ったほどタイムラグがあり過ぎるわけでもなく、ちょっと遅れ気味だったりして、アンサンブルに支障をあまり感じない。しばさんが書いてきた「ZOOM Nerima」では、裏拍をキープするパートを聴きながら、各自が演奏すると、タイムラグがあるのでビートはずれるのだが、それぞれが確信を持ってずれて演奏することになるので、結果として、独特なグルーヴが生まれる。ぼくの書いた「Ensemble for ZOOM」では、タイムラグがあって、ユニゾンがディレイになって複雑にずれるサウンドになるはずが、思ったよりもタイムラグがなく、20人とか25人くらいでやると多いっきりずれる人が出るけれども、4人とかだと、それほどずれないなぁ。この曲の後半で、いくつかの和音が同時に鳴ったりずれたりするのは、思った以上に効果的だった。いろいろ可能性を感じたので、今後も少しずつ探求していきたい。

 

その後も、「踏歌」の作曲作業。夜は、ドラマトゥルグを担当してもらっている里村真理さんと「踏歌リサーチ」会議を持つ。熱田神宮の「踏歌神事」では、

 

万春楽

竹川半首

浅花田

何そもそも

 

という4曲を歌っていることが分かった。「なにそもそも」の歌詞が面白い

 

なにそもそも なにそもそも

あや かや  にしき かや

なにそもそも

 

なにそもそも なにそもそも

いと かや  わた かや

なにそもそも

 

なにそもそも なにそもそも

いね かや  もみ かや

なにそもそも

 

名古屋出身なのに、熱田神宮に、こんな面白い神事があるとは今まで知らなかった。熱田神宮には、「オホホ祭り」(酔笑人神事:えようどしんじ)という神事もあるらしく、ちょっと動画を見てみたが、それも可笑しかった。神事の懐の深さ、面白い。