野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

相撲道と作曲道

今朝の「四股1000」は、久しぶりに少人数で6人。6人だと親密さが増すので、これはこれでいい感じ。2016年12月11日さいたまトリエンナーレ2016の最終日の「相撲道と作曲道3」の音読を読み終える。ついに最後には、原子力の話にまで及び、「宇宙との対話」という一ノ矢さんの言葉が出てくる。今日は偶々やっちゃんがホロスコープの音読もしてくれた。四股を起点に様々な地点にワープする。

 

初代高砂浦五郎の作曲に着手。まずは、プロローグとエピローグになる相撲甚句を作曲。三味線の手をどんな風につけるかと、相撲甚句の節回しをどれくらい一ノ矢さんに教わった節に忠実にするかが、最初に悩むところ。結局、竹澤悦子さんが三味線弾き語りをすることを想定すると、彼女の声や三味線に導かれて、少しずつ一ノ矢さんの相撲甚句が変化していく。作曲に没頭し始めた頃に、ふと気づくと打ち合わせの時間。

 

すみゆめリモート打ち合わせ。オンラインで無観客コンサートをライブ配信する。オンライン配信しつつ、三密を避けたライブをする。三密を避けたライブを収録し、後で編集して配信する。色々な可能性があり、オンラインとオフラインの組み合わせ方など、いろいろ初めてで悩ましいけど、面白い。まだまだ検討中。

 

本日、美容院に行った里村さんが羨ましく、髪が伸びすぎて限界なので、稀勢の里の断髪式の動画を見ながら散髪式断行。里村さんが、はさみとバリカンで、切ってくれるが、稀勢の里断髪式動画を見ていて、色々な人にはさみを入れられたかのような感覚にもなる。すっきり!

 

楽家の友人から、話したいと連絡あり。「社会包摂」に関するホールの報告書に、研究者のプロフィールは掲載されたのに、アーティストである自分のプロフィールが掲載されなかったことにショックを受けたとのこと。ホールの側は搾取した意識はないだろうし、悪意もなかっただろう。でも、確かに、研究者のプロフィールは載るのに、アーティストのプロフィールは載らないとなれば、載らなかったことでショックを受けた人が何人もいたんだろうし、アーティストは要らないって言われていると悪意で受け取る気持ちも十分わかるなぁ。話していて、実は彼が相当傷ついていたのだということを、強く実感。これだけアーティストが精神的にダメージを負っていて、この社会がアーティストをサポートする仕組みが、依然として不十分なのだと痛感させられる。こうやって、じわじわとダメージを負ったアーティストが、徐々に(かっこつきの)社会に適応するように強いられる、そうした力に抗って生きていくために、こうして相談したり話せたりする仲間がいることが必要なのだと思う。ぼくも、これまで、そんな風に怒りや悲しみの淵から何度も助けてもらった経験を持っているので、家族に友人に感謝なのだ。

 

明日の「四股1000」に向けて、2016年12月11日の「相撲道と作曲道1」のテープ起こしをする。冒頭の10分を書き起こし。相撲道について、一ノ矢さんの教えを再読。踏ん張らないこと、柔軟であること、そのための稽古が四股と、再確認。