野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

田楽考 田楽舞の源流

飯田道夫著「田楽考 田楽舞の源流」(臨川選書)を読了。本当に面白い本だった。最後まで読むと、結論として、田楽の源流には、相撲があったことになる。と同時に、宮廷での儀式であった相撲(相撲節会)から、「踏歌」が派生し、そこから滑稽な要素が

「千秋万歳」になって、それが「万歳」になって、お笑いの「漫才」へとつながっていく。ぼくにとっては、JACSHAでやってきた「相撲聞芸術」と、千住で続けてきた「だじゃれ音楽祭」が結びついた気がして、面白い。やっぱり、尾張万歳と三河万歳をもう少しリサーチしたいなぁ。

 

ちなみに、この本の結論では、田楽はもともと疫病払いの呪法という。そして、1096年の「永長の大田楽」では、疫病の大流行に対しての不安と政治に対する不満から、田楽で厄を払おうとした大規模な騒乱に発展した推測している。「永長の大田楽」はパンデミックに対する不安と政治不満から起こったという説は、新型コロナウイルスの現代を生きる我々にとって参考になる。そもそも、新型コロナウイルスが流行する以前から、「千住の1010人 in 2020年」を敢行するにあたり、永長の大田楽は参考になると思って、この本を買ったのだったが、結論まで辿り着いて、驚いた。この本を、自分なりに整理していきたい。

 

本日は、JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)でオンライン四股を試みた。1000回四股を踏んだ。♩=60で踏めば、約16分で1000回踏める。もう少し遅いテンポでも30分もあれば1000回踏める。作曲家の鶴見幸代、樅山智子とカウントしながら、一緒に四股を踏むアンサンブル。パソコンのモニターでメトロノームのように左右に揺れながら四股を踏む二人をみながら、とてもいい運動になり体が活性化された。これは、連日やりたい。いい運動になる。

 

ホルスト盆栽」の作曲を少し進める。「Polish Music since Szymanowski」は、第2次対戦中の章を読んでいて、Konstanty Regameyという作曲家が1944年に書いた五重奏がメシアンの「時の終わりのための四重奏」にファゴットを加えた五重奏。もちろん、メシアンの曲は知らなかっただろうし、この曲を聞いた同世代のルトスワフスキは大絶賛をした。翌年にはスイスに移住。こんな曲だ。Roman Padlewski(1915-44)やJózef Koffler(1896-1944)のように戦争で命を落とした作曲家が何人もいる。第2次大戦ポーランド全人口の20%の命が奪われたのだから。昨年12月のポーランドツアーのことも、また振り返って次に繋げていきたい。

 

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