野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

引きこもりライフつづく(執筆、作曲など)

2年前の4月12日から7月12日まで、香港の巨大福祉施設に3ヶ月アーティスト・イン・レジデンスとして住んだ。このあまりに夢のような特別な体験のことを、文章にまとめなければと思いながら、2年の月日が経ってしまった。今日がちょうど2周年だ。そこで、今日から執筆活動を開始することにした。2年前の日記を読み返し、情報を整理して、文章でまとめてみようと思っている。とにかく、香港のJCRCは世界のどこにもないような特殊な場所で、そこで本当に面白いことが起こっていて、しかも、ぼくは3ヶ月間で、面白いことを山ほどしてきた。そのことは、ブログに書いた以外には、九州大学で少し話したのと、鳥取で少し話した以外には、発表したことがない。

 

今日は、4月12日ー14日までの日記を読んで、巨大福祉施設JCRCの概説、そこでのアートプロジェクトi-dArtの概説、野村の3ヶ月のレジデンスの概要などを書いてみた。せっかく、今、家にこもれる機会をいただいているので、コツコツ書いていき、7月12日には、完成させたいと思う。

 

昨年作曲した「ハイドン盆栽」の続編をつくるべく、ハイドンのスコアを読んでいる。日本センチュリー交響楽団定期演奏会でとりあげる交響曲の93番、95番、97番の3曲だ。ロンドンで作曲した晩年の交響曲は、編成が大きくなるが、中期のようなヘンテコリンなところが随所にあるという感じはしないので、パッと見た感じは、興味がそそらない。日本センチュリー交響楽団という経営的に非常に厳しい状況にあるオーケストラと仕事をしているので、常に今回が最後になるかもしれないという覚悟を持って仕事に取り組んできた。ハイドンに関するレクチャーも、初めて引き受けた時には、最初で最後だろうと思って引き受けたら、気がついたら、既に数え切れないほどやっている。でも、初心を忘れずに、一期一会のつもりで、ハイドンの楽譜に向き合ってみたい。(日本センチュリー交響楽団が、経営的な困難の中、存続し続けていることと、そして、それに伴い他のオーケストラでは成し得なかった様々な仕事ができていることに感謝し、少しでも長くこの楽団が延命できることを祈っている。焼け石に水かもしれないけれども、少額での寄付も受け付けていて、それは少しでも延命に繋がるし、何よりも活動への勇気を与えるだろう。)

 

昨日の問題行動マガジンのミーティングで、最後即興セッションになった。里村さんが大根を抱えてパソコンの前で踊っていて、ぼくも途中で大根を手に踊り、ピアノの鍵盤の上に大根を置いたりした。今まで、大根でピアノを弾いたことがなかったが、大根でピアノを演奏するのは、面白いかもしれないな、と思った。時間を見つけて、少し試してみたい。

 

プロジェクターを購入して、襖に投影して自宅で映画を楽しんでいる。アップリンクのサービスのおかげで、見るつもりのない映画を色々見ている。昨夜見たのが、「核の傷 肥田舜太郎医師と内部被曝」という2006年の映画。日本政府もアメリカ政府も嘘ばかりだけど、絶対に騙されないで真実を追求するのだ、という肥田舜太郎医師の強い言葉が、現代を生きるぼくの状況にも本当に強く響くと感じた。

 

以下、自分のための読書ノート(Twelve-Tone Tonalityより)

 

0 7 2 9 4 11 6 1 8 3 10 5 0 7 2 9 4 11 6 1 8 3 10 5 0 7 2 9 4 11 6 1 8 3 10 5 0 7 2 9 4 11 6 1 8 3 10 5 0 7 2 9 4 11 6 1 8 3 10 5 0 7 2 9 4 11 6 1 8 3 10 5 0 7 2 9 4 11 6 1 8 3 10 5 0

 という循環する12音列(mod12)と

 

0 5 10 3 8 1 6 11 4 9 2 7 0 5 10 3 8 1 6 11 4 9 2 7 0 5 10 3 8 1 6 11 4 9 2 7 0 5 10 3 8 1 6 11 4 9 2 7 0 5 10 3 8 1 6 11 4 9 2 7 0 5 10 3 8 1 6 11 4 9 2 7 0 5 10 3 8 1 6 11 4 9 2 7 0

 

その逆光の循環する12音列(mod12)があって、組み合わせると

 

0 0 7 5 2 10 9 3 4 8 11 1 6 6 1 11 8 4 3 9 10 2 5 7 0 0 7 5 2 10 9 3 4 8 11 1 6 6 1 11 8 4 3 9 10 2 5 7

 

という列になって、音列の隣同士の数の和が、0と7(mod12)が交互になる。こういう音列を使って著者が作曲していたようだ。

 

これに触発されて、

0 2 4 6 8 10

という偶数による全音音階と

11 9 7 5 3 1

という奇数による全音音階を組み合わせて

0 11 2 9 4 7 6 5 8 3 10 1

という音列をつくってみる。これだけで、結構、遊んで演奏できるので、短い曲にしようと思う。

 

今日は、今宮神社のやすらい祭だった。行けなかったけれども、疫病を退散させる儀式に思いを馳せる。

 

www.youtube.com