野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

鬼を排除しない節分

京都の節分と言えば、京大のすぐ側の吉田神社に行くものだと思っていた。最初に左京区に住んだから、そう思ったのかもしれない。引っ越して3ヶ月弱。違ったところに行ってもいいのかと、里村さんと千本ゑんま堂に出かけ、ゑんま堂念仏狂言を初めて鑑賞。いわゆる狂言とも違い、より素朴な仮面劇。セリフのない仮面劇である壬生狂言とも違い、セリフ劇。「鬼の念仏」と「寺譲り」の2演目。どちらもコミカルでたくさん笑った。里村さんによると、東北では節分に落花生をまくらしいので、落花生の節分を試してみた。鬼は外!福は内!ちなみに、千本ゑんま堂では、福は内、鬼も内。

 

鬼と言えば、中学3年生の3学期に作曲を始めて高1になって完成した作品は、「Oniの衰退」(1984)。差別と排除をテーマに、Oniを被差別の対象と考えて作曲した5曲。佐久間新さんが鬼の役を演じたワークインプログレスのガムランシアター「桃太郎」は、5幕の叩き台を作ったものの2008年の時点で創作が止まってしまっている。あれから12年経って、佐久間さんはダンサーとして本当に素晴らしく変貌したので、佐久間さんの鬼を見てみたいなぁ。「桃太郎」は太平洋戦争で戦意を煽るためにも用いられた民話。現代に「桃太郎」をやる意味について、もう一度、考える機会を持ちたいとも思う。千本ゑんま堂の豆まきは、鬼を排除しない。「福は内、鬼も内」。

 

それ以外は、家でコツコツ作曲したり。「福は内、鬼も内」!