野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

100歳/ハイドン相撲/ほか

奇跡の公共ホール、えずこホールにいる。えずこホールに初めて来たのは15年前。2004年に、ヒュー・ナンキヴェルとWhaletone Operaを始めた。2005年、2006年もWhaletone Operaをヒューとやり、2006年に、十周年プレイベントで、倉品淳子、絹川友梨を招いて、音楽と即興演劇のコラボ。2007年には、住民参加と越境をテーマにした実験的な舞台、演劇交響曲「十年音泉」をやった。2009年にヒューと佐久間新と、「Keyboard Choreography Collection」をやり、2010年には宮田篤と「らくがっき」をやった。2014年に砂連尾理、上田謙太郎との「えずこRemix」、2015年に砂連尾理、上田謙太郎と「群像舞楽」、2017年に門限ズで出演した「えずこ星人」、2019年には、ヒューと「ミステリー音楽」をやった。この15年間、えずこホールで始まったことが、日本の各地、世界の各地に伝播していったことが、何度もあった。だから、えずこホールで時間を過ごすのは、特別なこと。

 

今日は、ワークショップが夜なので、午前中からホールで、ヒューとエマと色々なことを試せた。例えば、エマがイギリスに帰ったら演奏するバルトークを、ヴァイオリンと鍵盤ハーモニカで合奏したりした。来週、豊中世界初演になる「土俵にあがる15の変奏曲」を初見で一緒に弾いてもらったりもした。そして、相撲について、色々話をした。すると、相撲から着想を得て、エマが、Wassailというイギリス西南部に伝わる儀式の話をしてくれた。そして、気がつくと、今日の夜に、ワークショップでWassailを発展させることになった。こんな交流の時間が持てるのも、ありがたい。

 

午後には、ハイドン交響曲を分析したり、ワークショップの準備をしたりする。今回の「ミステリー音楽」ワークショップを、えずこホールでの4日間に留めずに、どのようにイギリスに続けていくか、を話し合った。イギリスの老人ホームに繋げられたり、イギリスの植樹祭に繋げられたり、イギリスのファミリーオーケストラのコンサートに繋げられたり、イギリスのアガサクリスティフェスティバルに繋げられたりする。

 

今日のワークショップでは、まず、昨日作った歌「I've gone bald」を歌った。ぼくがタイトルを書き間違えて、「I've got bald」というタイトルになった。続いて、イギリスのエクセターのファミリー・オーケストラでやっている即興指揮のルールを教えてもらい、そこに謎の指揮のルールを加えた。この方法で、イギリスで12月15日にファミリーオーケストラ「Aubergines」が演奏してくれる。続いて、明日訪ねる老人ホームあいやまに、100歳になる人がいるので、そのための誕生日の歌を作詞/作曲する。五線の上に手で触って次の音符の場所を決めて、作曲。この曲は、2月にベスエスダ老人ホームで、100歳の誕生日を迎えるアーサーにも聞いてもらうことになる。そして、相撲に着想を得て、エマが創作した新しい芸能Wassailの植樹祭の音楽と動きを考えた。これは、来年1月18日と19日にイギリスのエクセターでの植樹祭でやってもらうことに。イギリスらしい民謡のメロディーに、日本人が考える動きがついて面白い。最後に、エマのグループは、電気のミステリーを、ヒューのグループは、ナゾンガクを作曲。そして、ぼくのグループは、ハイドンと相撲のミステリーに迫った。ハイドンと相撲が合体したパフォーマンスは、12月10日の「ハイドン大學」で紹介することになる予定。

 

今日もいっぱいミステリー音楽に取り組んだ。ヒューとエマと、こんなに濃密な時間が過ごせるのは、貴重な時間で嬉しい。