野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

シュニトケはいい作曲家だ

多様式音楽の作曲で知られるシュニトケの伝記、Alexander Ivashkin著「Alfred Schnittke」を読了。20世紀後半のソ連の前衛作曲家。ロックバンドをする息子ともコラボをする作曲家。クラシック音楽と前衛とタンゴなどが同居する音楽を書く作曲家。映画音楽で一作ごとに全然違う作風で書いた作曲家。「コラージュ」という言葉を知らずに色々コラージュした音楽をつくった作曲家(アルヴォ・ペルトからコラージュという言葉を教わったそうだ)。

 

30年前、シュニトケの音楽を初めて聞いた時、こんな風に多様なものが共存できる音楽が書けるのだと、いっぱい勇気をもらったが、あらためて伝記を読んでみると、またいっぱい勇気づけられた。シュニトケの音楽とぼくの音楽は、テイストは随分違うけれども、でも、シリアス音楽と軽音楽の溝に橋渡しをしたいと言うシュニトケの音楽には、いつも共感する。脳卒中で倒れて後、右手が麻痺する中、リハビリして譜面を書き続けたシュニトケの創作への熱意がすごいと思う。

 

本日も、神奈川芸術劇場にて、リハーサル。10月5日、6日の公演「妖怪ケマメ」に向けて、2回の通しリハーサル。作品がいよいよ完成と仕上がってきていると同時に、日仏のアーティストがお互いの主張をぶつけ合い、いい意味でコラボ、バトルが続いている。信頼関係ができあがっているから、いろいろ言い合える。熱い現場になってきたなぁ。