相変わらず、作曲が続いていて、譜面を書いている。ヴァイオリ二スト小川和代さんのために作曲している。ヴァイオリンが主役の曲は、2010年代になってから、次の3曲を書いている。
ルー・ハリソンへのオマージュ(2017) ヴァイオリン+バリガムラン
だじゃれは言いません(2013) ヴァイオリン+映像
ポーコン(2011) ヴァイオリン+打楽器
しかし、ヴァイオリンとピアノというオーソドックスな編成で書くのは、実は、大学生の頃に書いた習作「意味のない会話」(1987)以来だ。
で、ヴァイオリンと打楽器とか、ヴァイオリンと映像とか、ヴァイオリンとガムランとかに比べて、ヴァイオリンとピアノという編成は、あまりに古典的で作曲に取り組む上で苦労する。ヴァイオリンと映像とかは、本当に簡単だった。最初から異質なものを共存させさえすれば、曲になる。ヴァイオリンとピアノという組み合わせは、オーソドックスすぎて、頭を悩ませるのだが、発想を変えてオーソドックスだから面白いと思って、作曲している。
相撲をテーマに作曲しているが、相撲のいいところは、とにかく何でもあり。儀式なのに、エンターテインメント。屋内でやっても屋根は残す。テレビ中継のために柱を取り除いて、屋根は宙吊りで、柱の代わりに房を垂らす。伝統を変化させずに博物館的に残すのではなく、今も生きている伝統として、どんどん色々なものを取り込んで変化していく。国際化にも成功して、多国籍の人々が大相撲に所属している。だから、なんでもありの音楽を書きたいと勇気づけられる。
今、相撲の呼出しさん呼び上げを主題にした変奏曲を書いているのだが、今日も、バッハのフーガのような変奏を書いたり、西洋クラシック音楽の模倣みたいな変奏を入れている。これは、ピアノとヴァイオリンだから、クラシック音楽風に書いたらクラシック音楽風に響くのであって、この編成を活かす一つの方法。第12変奏まで書いて、そろそろ完成の手前まできた。完成するまでに、できるだけ試行錯誤して、いろいろな発見をし続けていきたい。