野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ヴァイオリンは相撲

相変わらず、自宅にて作曲中。相撲をテーマにした新曲。12月11日に世界初演。しかし、今日は夜は、お出かけ。豊中市立文化芸術センター小ホールでのコンサート「古典と20世紀のポーランド作品」。このコンサートタイトルは、地味なのだが、弦楽四重奏のコンサートで、ベートーヴェンバツェヴィッチ、メイエル、ラスクという4人の作曲家の曲を演奏する。今年は、日本とポーランドの国交100年の年だが、それに因んでのプログラム。バツェヴィッチ、メイエル、ラスク、どれも知名度の高くない20世紀のポーランドの作曲家なので、興味を持って聴きに行った。それに野村の「ミワモキホアプポグンカマネ」を演奏してくれた日本センチュリー交響楽団首席チェロの北口大輔くん、野村の「ポーコン」を演奏してくれた日本センチュリー交響楽団コンサートマスターの松浦奈々さんも出演。

 

やはり演奏家がいいので、曲の魅力が引き出されるし、20世紀の現代音楽って楽器の色々な音色を使っていることが多いので、多彩な音色を味わえるし、さらには力強く作曲家が意図したことを超えるようなメッセージを語りかけてくるので、どんどん音の世界に引き込まれた。いやぁ、この4人に、ぼくも演奏してもらいたく、ポーランドの方々が羨ましい。

 

さて、と同時に、今は相撲の曲を作曲中なので、どうしてもヴァイオリンを見ると、相撲のことを考えざるを得ない。そして、演奏中に、ヒントがいっぱい転がっているので、曲を聴きいるだけでなく、ついつい自分の作曲のことも考えてしまう。今までヴァイオリンなんて、数え切れないほど見ているのに、生まれて初めて、ヴァイオリンを演奏している姿が相撲に見えた。顎の下にヴァイオリンを挟んでいる状態が、相手力士に頭をつけられている相撲の状態に見えたのだ。ああ、ってことは、ヴァイオリンの弦を押さえている左手は、相手力士をおっつけている感じの動きだ。逆に、弓を持っている右腕は、G線を弾く時には、脇が開く(かいなを返す)状態になり、E線を弾く時には、脇が閉じた状態になる。ああーー、相撲の動きをトレースすると、ヴァイオリンの動きになるんだ。と勝手に、ヴァイオリンと相撲を関係づけて興奮。

 

それにしても、このポーランドのマイナーな作曲家を列挙したコンサートが、満席に近いほどお客が集まったことは、喜ばしい。今日来場した観客は、演奏家やホールに対する信頼があるから、プログラムの内容がなんであれ来たのだろう。そして、こうして集客できると、演奏家もホールもリスクを冒して独自の選曲での演奏会が開催できるようになる。こうした意欲的なプログラムを、これからも続けていってほしい。