野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

国際会議始まる

香港でi-dArtによる国際シンポジウム「知的障がい者のアート活動の展開&カーニバル」が、いよいよ開催に。観客は300名ほど。会場内は、i-dArtのアート作品などで装飾されまくっていて、昨日トラック何台もで引越しのようにしていた意味が、よくわかる。無味乾燥な国際会議場が、カラフルで躍動的な空間に変わっている。

 

開会セレモニーが、すごく面白い。知的障がいの人が出てきて、寸劇をする。内容は、もちろん、この国際会議についてだ。この面白い寸劇にはさまれるように、来賓あいさつがある。そして、また別の寸劇が行われる。そして、また別の来賓挨拶がある。

 

そして、ゲストへの記念品贈呈が行われる。これは、i-dArtのアーティストによる各人の似顔絵が額装されて渡され、その似顔絵はスクリーンにも投影される。記念品贈呈と記念撮影が終わったら、直径1メートル以上あるボール6個を、ステージ上から客席に投げて、これを観客たちが協力し合いながら、客席の一番うしろまでパスを回すというもの。

 

そして、Olivia Raynorによる基調講演。彼女がカリフォルニアで取り組んでいるNational Arts and Disability Centerでの取り組みの話。

 

休み時間に、イギリスのブライトン大学のAlice Foxに、英語のことを聞いてみた。香港では、知的障害をintellectual disabilityという言葉で呼ぶ。でも、イギリスでは、learning disabilityと言うよね、と。すると、イギリスでは、learning disabilityとかlearning difficultyとか言う、とのこと。各国ごとに、障がいに対する用語が違い、その用語も時代とともに呼び方を変えている。i-dArtの障害者(people with disability)という言葉を使わずに、people with different ability(異なる能力をもつ人)という呼称を、この会議で誰も使わないが、この言葉を定着させてもいいのかもしれない。disabilityという言葉に対抗するように、日本では、エイブルアートable artというムーブメントが生まれた。

 

午後は、分科会で、たんぽぽの家のAble Art CompanyやGood Job Centerの話や、スペインのデザイン事務所La Casa de Carlota(ダウン症自閉症のデザイナーと、健常者のデザイナーが共同するデザイン事務所)の話など興味深く聞く。

 

そして、公募のコーナーでは、九州大学ソーシャルアートラボの村谷さんの発表や、九州大学でベリーニたちとフォーラム開いた時に来ていたダウン症の娘を持つお父さんの発表(+娘さんの木琴演奏)など、昨年10月に福岡で出会った人々が関わってくれて、香港と福岡のつながりも嬉しい。

 

みなさん、素晴らしい発表が相次ぐので、明日の野村のプレゼンもしっかりしないと、と改めて心を引き締め、ホテルに戻って後は、いろいろ考えを巡らすも、体調がいまいちなので、さっさとベッドに入る。でも、興奮して、しばらくは、いろいろ考えた。こうやって刺激を受けて考えた内容が、明日の発表になると思う。ワクワク。