野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

毛利悠子のモレモレヴァリエーションと十和田の町

十和田での最終日。十和田市現代美術館の企画展は、必ず街中展示がある。現在開催中の毛利悠子展も展示室での作品以外に街中にも展示があるのだが、そのうちの松本茶舗での展示を、本日、ついに鑑賞。これが、大変素晴らしかった。静止画のカタログ写真では、その魅力が十分伝わらないかもしれないが、実際に作品が動き音を奏でる様子を鑑賞すれば、単純でありながら、常に変わり続けていく音楽が立ち現れる。と同時に、その動きは、魅力的なダンスで、美しい影絵でもある。音楽であり、ダンスであり、美術であり、それらが松本茶舗の店内で自然に共存している。単純なようで、時事刻々と微妙に変わっていく「モレモレヴァリエーション」。作品の素晴らしさと同時に、この作品を半年間、店内で鳴らし続けることを受け入れた松本茶舗の寛容さにも感銘を受けた。

 

東奥日報の記事がウェブ上でも読めるそうで、こちら。

www.toonippo.co.jp

 

「十和田十景」を作曲するために、昨日、一昨日の録音データをもらう。美術館との事務的な仕事なども済ませて、少しだけ作曲作業も始める。

 

美術館の里村さんと打ち上げ。録音を一緒に聴くと、曲ごとにピアノが変わり、空間が変わるので、旅をしている感じが出て面白い。アンケートを読ませてもらったり、人々からの感想が届いたり、2日間の濃密なツアーの余韻に浸る。ただ、ここが始まり。このツアーの時間を、これからどう活用していくのかも課題。次に十和田で何か企画をする時にも、大切な人の繋がりが生まれたと感じた。記録映像は、音楽作品であると同時に、十和田の町や人々が浮き彫りになる映像になるだろう。それは、海外の人々からすれば、日本の生活が浮き彫りになる音楽映像作品かもしれない。映像の完成も楽しみだな。野村が「十和田十景」の作曲を完成させたら、また十和田でコンサートもしてみたい。いろいろな可能性が生まれて、始まった気がする。みなさん、ありがとう。