野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ベン・スハルトと双葉山と佐久間新

「だんだんたんぼに夜明かしカエル」世界初演(@ジーベックホール)でした。

 

インドネシアにベン・スハルトという舞踊の達人がいた。ジョグジャカルタで出会った多くの舞踊家が、いかにベン・スハルトが素晴らしいかを語ってくれる。そして、ベンさんの踊りの本質とは何か、根源とは何かを、語ってくれる。ベンさんの動画を少しだけ見たことがあるが、あまりの美しさに泣きそうになった。この人のダンスを、実際に見てみたかった。

 

ベン・スハルトのダンスの精神を引き継いでる数少ないダンサーに、佐久間新がいる。ベンさんの域に近づける可能性を秘めているダンサーで、ベンさんの踊りを超えた先を目指して日々ダンスの修行をしているのが、佐久間さんだ。

 

今日の公演、「だんだんたんぼに夜明かしカエル」の中には、ベン・スハルトの舞踊の原石の欠片がいくつも転がっていて、時々、キラキラと光った。

 

双葉山引退相撲の時の土俵入りの動画も見たことがあるが、これも本当に美しい。双葉山舞踊家ではなく力士だが、彼の土俵入りは、ベン・スハルト的な美しさに満ち溢れている。ベン・スハルトの舞踊と双葉山の土俵入りの共演を見てみたいけれども、どちらも故人だ。

 

だから、佐久間新に期待する。ベン・スハルト双葉山のような美、それを愚直なまでに追求しているのが佐久間新だからだ。ぼく自身も、同じように愚直にそうした美を追求している一人だと思う。ぼくらは、いっぱい回り道もしながら、ゆっくり成長して、50歳にして、ようやくスタート地点に着いた気がする。もう50歳になってしまったけれども、50歳でスタート地点に立てたこと、嬉しく思う。これからも、本気で楽しく修行に励み、精進して、ベン・スハルト双葉山のコラボレーションのような舞台を実現させてみたい。

 

ということで、みなさん、おつかれさま。ありがとう。これからもよろしく。次回は、3月9日、10日の東京公演です。そして、双葉山とベン・スハルトの動画、以下にはっておきます。

 

www.youtube.com

www.youtube.com