野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

千住だじゃれ音楽祭の定期演奏会

東京へ移動。国際交流基金アジアセンターの方々と打ち合わせ。東南アジアと日本の若手アーティストの交流をどのように促進するか、などが議題。

「作曲家のワークショップデザインに関する研究 ー作曲家野村誠の『ポスト・ワークショップ』に着目してー」という修士論文を書かれた小野田由実子さんから、同論文を手渡される。野村のインタビューを書き起こし、そこに分析を加える。この論文を、パラパラとめくってみると、どこを開いても、何か興味深いことが書かれていて、また別のページを開いても、違った興味深いことがある。何と言うか、論文なのに、多様な「ごった煮」感が溢れていて、不思議なゴチャゴチャ感が残っている。自分について論じたものが、こんなテイストになっているのは、とても嬉しいことだと思った。チャールズ・アイヴズの交響曲が、交響曲なのに定型を越えてごちゃごちゃした魅力を放つように、論文も色々な可能性があり得ると思うアイヴズの「交響曲第4番」を聴いてみよう。指揮者が3人いて、途中で色々な曲が引用されたり、合唱やオルガンも鳴ったり、1910年代に作曲したのに、作曲して50年の歳月が流れて、初めて演奏された交響曲。アイヴズは、野外で上演する「交響曲5番」をもっと大きい規模で構想していたらしく、複数のオケや楽団や合唱が交差するアイヴズの野望は、「千住の1010人」で野村が引き継いでいくべきことなのかもしれない。

夜は、「千住だじゃれ音楽祭」2017年度の打ち合わせと、「だじゃれ音楽研究会」と即興音楽を楽しむセッション。今年度は、2012年度以来となる「千住だじゃれ音楽祭第2回定期演奏会」と、昨年度以来となる「第2回だじゃれ音楽研究大会」を計画中。第1回の定期演奏会の映像を見て、4年前の面白さに驚く。