野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

えずこ大祝賀会は、芸術見本市のようであり、交流の場でもあった

えずこホールは、宮城県仙南エリア(2市7町)で活動する公共ホールで、年間600回のアウトリーチを行いホールの外に数多くのアーティストを派遣しています。20周年事業として、昨日と本日「えずこせいじん大祝賀祭」が開催。外では、きむらとしろうじんじん率いる焚き火チームが、焚き火やテントや屋台を実施中。ホールのロビーでは、藤浩志さんの様々なオブジェの展示や20年の歴史が体験できる展示や映像、そして、安冨歩さんが、絵の具を出して絵を描いている。大ホールでは、神谷未穂さん(ヴァイオリニスト/仙台フィルコンサートマスター)と中川賢一さん(ピアニスト)と山田うんさん(ダンサー)がリハーサル中。

まずは、門限ズの衣装に着替えて、会場内を移動。平土間ホールでは、えずこ男声合唱団の発表。平均年齢67歳の元気いっぱいの歌声。指揮は、細渕先生。その後、外に出て、焚き火に顔を出すと、南米音楽チームの演奏と門限ズのセッションにもなる。じんじんがマイクで紹介もしてくれる。その後、少しだけ練習室に行って、ピアノの練習。15分だけだったけれども、少し触れると違う。

平土間ホールに戻ると、柏木陽さん(俳優)が一人芝居をしている。えずこさん役、えずおさん役を一人でやりながら、恋の物語をして、延々と続くお芝居に会場も爆笑。子どもが「おぎゃー」と生まれたところをきっかけに、60歳からの演劇チームのメンバーがオリジナルソングを歌う。伴奏は、片岡祐介さん(音楽家)。歌の合間に、20歳の頃、40歳の頃を振り返る言葉なども挿入されて、気がつくと還暦、という楽しい歌、などなどを次々に披露。

平土間ホールでは、さらに上田假奈代の詩作のワークショップがつづく。門限ズは、写真撮影のため外やロビーなどで、撮影。外では、じんじんが館長の水戸さんを交えて、トークショーを行っている模様。ロビーで撮影している流れから、自然に観客参加型の即興パフォーマンスになり、子どもが踊ったり、大人も踊り、色々な交流が起こる。柏木さん、片岡さん、藤さんなども、通りかかり参加したり。

大ホールでは、えずこギターアンサンブルの演奏があり、その後、「えずこラボレーション しあわせレブレーション」のコーナーが始まる。これは、たった2時間の間に、藤浩志(美術家)、安冨歩(経済学者)、野村誠(作曲家)、片岡祐介(打楽器奏者)、中川賢一(ピアニスト)、神谷未穂(ヴァイオリニスト)、山田うん(ダンサー)、楠原竜也(ダンサー)、上田假奈代(詩人)、きむらとしろうじんじん(野点)、倉品淳子(俳優)、遠田誠(ダンサー)、吉野さつき(コーディネーター)、柏木陽(俳優)、ISOPP(ダンサー)が次々に登場し、彼らが実際にアウトリーチ先で行ったワークショップの映像も紹介され、トークもある上で、それぞれが次々に実演をし、セッション/コラボもあり、最後には観客も巻き込んで、という贅沢すぎる時間。これだけのジャンルの一線で活躍するアーティストのパフォーマンスを、ある種の見本市のように次々に見られるこんなメチャクチャなステージは驚愕で、これはTPAMに行っても体験不可能な短時間でのつまみ食いの応酬でした。ここは、ジョグジャカルタかというくらいスターが勢揃いで、2時間で終わらせなければいけないのは、もったいない。曲目としても、メシアンの「喜びの精霊のまなざし」、バッハの「無伴奏ヴァイオリン」、ストラヴィンスキーの「春の祭典」、野村誠の新曲、ピアソラドビュッシー、即興演奏、などなど。上田假奈代の詩の朗読の中では、「メシアンというご飯屋さん」が登場し、その背後で、片岡祐介がなんちゃってメシアンの演奏もする。

門限ズのコーナーでは、「10秒リレー」に上記のアーティストが全員参加。中川賢一さんや藤浩志さんが踊る姿や、神谷未穂さんが即興でピアノの内部奏法をする姿もあれば、山田うんさんがピアノを弾く姿もあれば、上田假奈代さんが客席からの参加者を同伴してのダンスや朗読もあり、そこにISOPPさんのボイスパーカッションも登場する。「お題デュオ」には、観客席からの参加も加わり、最後には、客席の方々を大ホールの舞台上に招いて、中川さんと野村での2台ピアノ。2台ピアノの間に挟まれて聴く人、ピアノの下で聴く人、ピアニストのすぐ後ろで聴く人。通常ではあり得ない距離で聴いてもらう。周りの観客に音は吸われ、残響ゼロの録音スタジオのような音になって、演奏者の演奏の細部も全部聞こえちゃう状況で、しかし、楽しく2台ピアノのための「テキストのたね」と「十年音泉」を演奏。

グランドフィナーレのよう君にバトンタッチして、グランドフィナーレで、えずこシアターの即興劇の後、住民音楽グループが次々に舞台上に登場し、水戸館長の指揮で幕を閉じる。

平土間ホールで祝宴があり、10年前に中学生のお姉さんとお母さんが参加していたワークショップについて来ていた小学生1年生か2年生だった美鈴ちゃんが、立派な18歳になっていて、今日は舞台のスタッフをしていました、野村さんのピアノが久しぶりに聴けて嬉しかったです、と挨拶されて、あんなに小さいかったけど、覚えているんだなぁ、と感激する。えずこギターアンサンブルの方からは、娘さんがつくしの会児童合唱団で参加して、本当に門限ズが楽しかったと言ってくれていて、今日のステージに来ると思っていなかったのに、門限ズに誘われて来て、最後の2台ピアノの時に、舞台上で親子が偶然遭遇。20周年で親子の思い出ができました、と言われる。男声合唱団の方からは、娘さんは野村さんのことを29歳だと思い込んでいるので、そのまま誤解させておきました、と言われる。

様々な思い出を語り合い、楽屋前でアーティストたちでプチ打ち上げをして後、住民の方々やホールスタッフも交えた打ち上げに。えずこと出会った2003年から14年間の様々な思い出や、新たな抱負や展望を語り合う。じんじんと吉野さつきがマネジメントについて話していたり。安冨さんと神谷さんの会話は、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲とトランスジェンダーについて。水戸さんの波動の話に、じんじんが応えていったり。

最後は、ホテルのロビーで、中川さんや遠田さんや倉品さんは、眠ったり起きたりしながら、ディープに語り合った後、藤さんが、「ぼくは、ずっと自分の現場がない感覚があって、現場を探しているんです。だから、まだデビューしていないと思っている」との発言が登場して後、閉会。大浴場に行くと、楠原さんだけ来ていたので、他の人はそのまま寝たのでしょう。お風呂で楠原さんと語り合って後、就寝。