野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

国際交流企画第4弾;インドネシア調査編レクチャー&コンサート

本日は、「千住だじゃれ音楽祭 国際交流企画第4弾:インドネシア調査編 レクチャー&コンサート ジャワで交流したんじゃわ」(@東京藝術大学千住キャンパス、スタジオA)を開催いたしました。

1 「ごはんはナシ」、「ケロリン唱」

「ごはんはナシ」は日本語とインドネシア語と英語を交えた「だじゃれソング」で、途中はインストになります。そのままメドレーで、「ケロリン唱」に。今回は、佐久間新さんの振付で、声のみならず動きがつきました。

2 トーク

インドネシア語、英語のだじゃれについても説明。作曲家メメット・チャイルル・スラマットについて。インドネシアの様々なアーティスト/作曲家について、インドネシアで始まっている地域活性アートプロジェクトについて。

3 映像「ジャワで交流したんじゃわ」(41分/映像:甲斐田祐輔

休憩

4 メメット・チャイルル・スラマット作曲「Senju」

2013年に作曲したメメットの作品の新アレンジ。途中で、佐久間新さんの舞踊のシーンあり。インドネシアのポスト・ミニマル音楽でもあり、即興性のあるオープンな音楽でもある。

5 トーク2 

インドネシアの作曲家たちとの体験、ガムラン、村人との交流など、多角的に。

6 セッション by 新倉壮朗+佐久間新(ダンス)、野村誠(ピアノ)

ジャワでの滞在中に幾度となく自発的に起こった二人の即興ダンス。タケオくんについて、インドネシアを代表するコンテンポラリーダンス振付家/ダンサーのミロト・マルティヌスさんからも、ジャワの即興の達人であった故ベン・スハルトの精神に通じるとのお褒めをいただきました。日本の東京の芸大のスタジオでピアノの演奏によると、また全く違った雰囲気になりますが、これは、見応えのあるデュオダンスで、関係性も面白く、それぞれの持つエネルギーが素晴らしかった。

7 フランチェスカ・レ・ロイ作曲「ボナンで笙」(世界初演

大和日英基金で日本に滞在中の作曲家のフランチェスカは、昨年より「千住だじゃれ音楽研究会」にも参加しています。彼女もインドネシアツアーに同行。そのインスピレーションで、新曲を作曲して下さいました。雅楽の笙と鍵盤ハーモニカが対置される前半。徐々に、笙と鍵盤ハーモニカが重なり合っていき、そこにチェロやクラリネットも加わっていきます。チェロとダルブッカの合図でビートが刻まれる中盤は、打楽器アンサンブルになり、これもまた、インドネシアでの様々なセッションを想起させる響きとなっていきます。そして、この打楽器のビートに様々な楽器が加わってのフリー即興の盛り上がりの後半を経て、曲は最後に、交互に静かに鳴らされるボナンの金属的な響きと声のアンサンブルから、ボナンの響きが残って静かに終わっていきます。佐久間さんのダンスも加わり、インドネシアの旅を象徴する新曲でした。今後もレパートリーとして加えていきたいです。

アンコール 「ジョグジャは美しいまち」

マングナン小学校の先生たちとのワークショップで生まれた歌を演奏して、コンサート終了。

多くの方々にご来場いただきまして、ありがとうございます。インドネシアの最新の現代音楽事情の報告会ですが、小さな子どもからお年寄りまで、近隣の方々も多数、聴きに来て下さり、楽しんでいただけたことは、大変嬉しいことです。一部の専門家だけでなく楽しめる現代音楽を、育んでいる自負はあります。インドネシアの作曲家の作品、イギリスの作曲家の新作初演を含んだプログラムで、このような鑑賞の場が作られていること、そして、観客の半数以上がアンケートに記入して、コメントを書いて下さったことなど、嬉しいフィードバックがいっぱいでした。お客さんにも、ジャワの空気を体感していただけたかと、いやタイ感ではなく、ジャワ感していただけたかと思います。(司会の三木さん、こたろー君もおつかれさまー、いや、かつカレーさまでした)。

国際交流企画が続きましたので、来年度は、いよいよ待望の「第2回定期演奏会」を開催したいと思います。野村が新作も書きます。お楽しみ。

皆様、おつかれさま、あ、ではなくて、かつカレーさまでした。