野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

乙女文楽

野村誠+日本センチュリー交響楽団+スマイルスタイルによる「The Work」が進行中です。今年のワークショップは既に4回行われていて、7月20日には、大阪で発表コンサートも行うので、こちらはそれに向けて作曲しなければいけません。そんな中、第1回のワークショップの中川悠さんによるレポートが公開になりました。大変面白く読み、初心を思い出す。

http://the-work.jp/blog/reports/relay-report2016_01

そして、第1回からのワークショップの音源を聞き直したりして、過去4回で生まれたアイディアなどを整理していきます。即興あり、聖歌あり、作曲あり、ハイドンあり、地質学あり、ゴジラあり、ゲームありで、いろいろ充実の4回を思い出します。

さて、素材を書き出して、しばらく自分の中で寝かせる時間が必要なので、発酵のために時間を置くわけで、庭の野菜の世話をしたり、そして、オーケストラのコミュニティプログラムの仕事を始めて2年経って3年目なので、オーケストラについて、もっと勉強したいなぁと思います。もともと、オーケストラとの縁は少ないので、ガムランの方がオーケストラよりも多く作曲しているわけですが、3年目なのに、オーケストラは縁が少ないとか、言っていられません。色々、オーケストラのことを調べたいと思っております。

今日は、サンフランシスコ交響楽団とMichael Tilson Thomasが、「春の祭典」を大変分かりやすく解説している映像を、見ておりまして、こうやって説明されると、ファン増えるだろうなぁ、と感心。面白くて、つい全部、見てしまいました。



Simon Rattleが説明する20世紀の調性音楽の崩壊の流れの説明番組も、非常に丁寧で分かりやすく。指揮者の方々のこうした解説努力は、素晴らしいと思います。

ということで、こうしたオーケストラの勉強をしながら、オーケストラのコミュニティプログラムのための作曲にとりかかりかけておりますが、本日、法然院に、田中悠美子さんが来られるというので、演奏を聴きに行きました。乙女文楽という一人で人形を遣う桐竹繭沙也さん+悠美子さん三味線と語りの両方をお一人で「蘭菊の乱れ」。一人でやらない人形が一人で、義太夫と三味線も通常は別々なのに一人でやる兼任同士のミニマムライブ。古典が終わったと思ったら、悠美子さんの特殊奏法即興に、初顔で人形も即興。古典と全く違うテイストの即興なのですが、古典にも様々な奏法で効果音があるので、こうやって人形が出てきてみると、こうした特殊奏法と、前の古典のつながりも見えて面白い。最後は、「櫓太鼓曲弾」で、バチが潜ったり飛んだり、色んな弾き方やパフォーマンスを披露で、これも、先ほどの即興ともつながる部分もあって、3つの演目は、通常ではバラバラな3演目に感じられますが、その3つは、見た目の違いほど違ってもいなくて、それが3つ並んで味わえたことで、2番目の即興に入り込んで味わいやすい構成。

人形の桐竹さんは、淡路島のご出身で、ぼくもまた淡路島で人形浄瑠璃と瓦のコラボレーションやりたいなぁ、と思いました。