野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

熱タイ音楽隊(バンコク)4日目

午前中は、Srinakharinwirot大学という早口言葉のような日本人に発音不可能な名前の大学にて、講義。ここは、もともと教員養成学校で、今は総合大学だが、芸術学部ではあるが、学生の多くは教員になるらしい。その中のタイの伝統楽器を学んでいる人達に向けての授業。正月休み期間にも関わらず、20名ほどの学生が集まり、見学の教員なども多数いる。

箏の松澤さん、鼓の小川さんは、着物で登場。本日の講義の流れは、日本の音楽、タイの音楽について教え合うこと、国際交流、創造的な教育についての交換をすること。冒頭は、野村による熱タイ音楽隊の紹介。ここには、日本の伝統楽器の演奏家のみならず、鍵ハモ、ギター、チェロ、創作楽器など、様々な音楽愛好家がいる。そして、その多くは、日本の伝統音楽について、よく知らなかった。ぼくたち日本人の音楽愛好家が、どのように日本の伝統音楽に親しんでいけるかを探っている、と語り、その方法の一例を紹介します、と導入。その前に、演奏を聴いてもらおう、と地歌箏曲「千鳥の曲」より抜粋で演奏、そして、鼓の演奏を聞いていただき、その後、タイの学生たちによるタイ伝統音楽の演奏実演。

この後は、鼓のリズムを覚える「すっぽんぽん体操」を披露し、学生たちに「すっぽんぽん体操」を教えるワークショップ。大学生、ノリノリで歌い、踊ってくれる。その後、タイのリズムを何か教えて欲しい、と頼むと、村のパレードのリズムを口唱歌で教えてもらい、そこから自然に踊りや楽器が始まり、教室の中が祭りのようになる。

最後は、質問コーナーで、箏と鼓の実演などもあり、教授法、タイの楽器への質問など。

昼食後にホテルに戻り、少し休んで後、ジャンダヴィのやっているバーZOOヘ行く。ここで作曲/即興ワークショップ。シラパコーン大学の学生を中心とする20人ほどの参加者。だじゃれ音楽より「ドミノだおし」を体験。その後、タイ語で「わかりません」の意味である「ホメデタイラー」と聞こえるコトバを作曲。

ホ:ホ音(ミ)
目:指揮者と目が合った人が演奏
デ:D(レ)を演奏
タイ:タイ人が演奏
ラ:ラーと歌う

というシンプルなルールの曲だが、名曲。その後、「ケロリン唱」をやってみる。さらに楽器での「ケロリン唱」。最後は、「すっぽんぽん体操」。作曲の大学生や大学院生が、笑顔で歌い体操する光景は圧巻。

夕食後、ライブ。決して広くないステージであり、熱タイ音楽隊のメンバー一人ひとりの個性と多様性を、しっかり観客に提示できるようにしたいので、全員と数分のデュオをすることに。

1)胡舟さん+野村による鍵ハモデュオ
2)伊原さんのホーメイ+野村のキーボード
3)能見さんのドラム+野村の鍵ハモ
4)小川さんの鼓+野村の鍵ハモ
5)みきさんの朗読と野村のキーボード
6)コタローのチェロと野村の鍵ハモ
7)タケオと野村の鍵ハモデュオ
8)小日山さんの色々な楽器とのセッション

その後、だじゃれソング「ほうれんそう連想」、「集まれ!風呂フェッショナル」、「すっぽんぽん体操」を歌って、最後に、観客飛び入りのセッションタイム。

これで終わりと思ったら、休憩を挟んで、影絵タイム。影絵パフォーマンスに合わせて、アノタイが足踏みオルガンで、熱タイ音楽隊も即興で加わる。子どもオペラで忙しかったアノタイも、今日は一人のミュージシャンとして共演を心から楽しんでいた。

こんな風にして、ジャンダヴィのZOOでの濃密な夜が終わっていった。