野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ガムランの日

京都ガムランSekar Gendisの活動、2ヶ月ぶりに再開。子どもガムラン。久しぶりで、何をしたいか?と尋ねると、「夏っぽいのがいい」と言う。そこで、「すいーか」という曲ができた。これまでも、「メローナ」、「バナナーナ」など、フルーツの名前を変形したタイトルが多かった。この曲は、グンデルで、高い2→低い2→3とやったら始まり、あとは好きなようにやって、最後に、ゴングを2回やったら終わる。このゴングをスー君(兄)が一回鳴らした後、ムク君(弟)がもう一回鳴らす。兄がゴングに向かって走り出し、ワンテンポ遅れて弟が走って行くところが、なかなか可愛らしい。

久しぶりに、「バナナーナ」を演奏したい、と言う。「バナナーナ」は昨年7月に作った初期作品で、子どもガムランでの2曲目の創作(ちなみに、「すいーか」は41曲目)。「バナナーナ」は非常にシンプルで、太鼓がドンと鳴ったら演奏を始め、延々両面太鼓の左側だけを演奏する。最後に、左面を叩いた後に、右面を叩いたら、それを合図に終わる、という曲。非常にシンプルだが、太鼓がリーダー的な役割をするので、太鼓のリズムに演奏者全員が集中する。1年前に2年生だったスー君(現在3年)が太鼓をやったのだが、1年前とは大違いで、太鼓のリズム感も良く、表情豊かで、演奏しながら、太鼓の張りが良くなるように調整したりもする。いつの間に子どもたちは成長していくのだろう?

昔の曲を懐かしむ子どもたち。一番最初は、「レモーネ」という曲だった。子どもガムランの0曲目の創作となっている原点の曲をやりたいと言う。この曲は、もっと単純で、太鼓に合わせてアンサンブル全体がゆっくりになり、最後にゴングがなって、その後、全員が一音鳴らして終わる。ジャワガムランの典型的な終わり方を、やってみたのが全ての始まりだったのだ。すると、「レモーネ」は始まり方が決まってないので、「115で始めよう」とムク君。115で始まり、太鼓に合わせてだんだんゆっくりになるんやな、と確認すると、「それで5511で終わり」とムク君。曲名は、「レモーネのほんもの」となり、新曲として、42曲目に登録された。

その後は、「マハロがいた時に作った曲がやりたい」と言い、2月25日に創作し、27曲目に登録されている「ちぎれべるべれ」を演奏。この曲は、音が途切れ途切れで演奏される曲で、終わりの合図として、スーさんが足をあげてから太鼓を叩く。これも4ヶ月ぶりにやったし、決まり事は多くないのに、不思議と曲調を子どもたちが記憶していて、驚く。

「じゃあ、あれやろう」と提案があったのが、1月7日に創作した22曲目に登録されている「おだどんぐり」。この曲は「3535 55ーー」というのが始まりのフレーズで、その後はアドリブで、最後の合図が「2352」と出ると、他の人は何かの音を2回鳴らす。この2回鳴らすのが、イントロの「55−ー」の部分と整合性があって、曲の辻褄があっているのだが、今日もしっかり冒頭と終わりが辻褄が合う演奏になっていた。子どもたちは、こんな曲なのか即興なのか分からない音楽を、ちゃんと記憶していて、自分のものにしている。

30分あまりで、こんなに色々な音楽を演奏できる子どもたち。創造性の成長を見るのは、本当に面白い。

その後、大人ガムランの時間。こちらは、久しぶりなので、積もる話をたくさんして、その後、即興で演奏。近々、大人ガムランの時間に、お相撲の太鼓のリズムで演奏してみたい。

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