野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

かわらミュージアム、狸囃子

近江八幡での竹澤悦子さんのライブにゲスト出演。リハーサルの前に、会場のすぐ近くにあるかわらミュージアムへ行く。かわらミュージアムは20年ほど前にオープンしたらしいが、受付の側に、瓦奏琴という楽器があって、瓦の土を鍵盤状にして、木琴のようにした半音階の楽器と、吊り下げたチャイム式の楽器があった。淡路島でも、瓦琴を作っていた人々がいたし、誰でも考えることは同じのようだ(しかし、瓦そのものを楽器にする、瓦に適したバチの研究をする、という発想は音楽家でないと生まれないようだ)。鬼瓦をはじめとする様々な瓦の展示を満喫後、ライブ会場へ。

昨日までは、新作初演に全エネルギーを投じていた竹澤さんに、今日の演目に関する話をする時間はとれなかった。きっと、今日は即興でやったりするのかと思っていたら、竹澤悦子さんと向島ゆり子さんのデュオで、結構リハーサルしてきているレパートリーがあり、それらの曲を次々に二人から説明されるが、どんな曲か分からない状態。この状態で本番で弾くのは、甚だ申し訳ないかも、と思いつつ、まずは曲の構造を理解。

沢井忠夫氏のヴァイオリンと箏のための作品、竹澤悦子のオリジナル曲などを竹澤+向島デュオで数曲聞いて後、予定外の野村のソロ演奏で「鍵ハモイントロダクション」をして後、3人の合奏。リハの時は、お二人もリハーサルと思って、力を抜いて演奏しているので、どんな曲か分からなかったのですが、本番は本気の演奏なので、とてもよく分かりまして、共演していても楽しかったです。

野村誠作曲+木ノ下裕一作詞の「狸囃子」ですが、本日は竹澤さんの提案による観客参加も含めたバージョンでした。昨日の世界初演の新しい作品が生まれる緊張感も良かったですが、本日は、再演ならではの自由奔放さもあり、非常に伸びやかな演奏でした。この作品は、これから何十回、何百回と演奏され続けていくことでしょうし、それによって、深みも増していくことでしょう。凄く楽しみです。

「狸囃子」の後は、ゆり子さんとのデュオの即興から始まった3人による即興のセッションを思う存分満喫して、向島さんの新曲を3人で演奏。アンコールで竹澤CD収録曲を合奏して、素敵な時間が終わっていきました。

滋賀県の懐かしい顔ぶれにも再会できて、嬉しかったです。

お二人は、明日は福井でライブのようです。また、素敵な演奏を続けて下さい。

ちなみに、今日、ドイツでは、大田智美さんと富田珠里さんが、ぼくの「ウマとの音楽」を演奏してくれていたのです。そちらも大成功だったことでしょう。