野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

コメルナ、狸囃子

高槻の障害者施設コメルナにて、知的障害の方々11名と70分ほど一緒に音楽をしました。施設にあった楽器と、ぼくが持っていった楽器を使って、集団即興演奏になりました。最初は鍵ハモのソロを聴いてもらうところから始まり、徐々に皆さんにも打楽器などで参加していただきます。踊る人、体を揺らす人、様々な参加の仕方があります。片岡祐介さんの仕事を思い出し、「なんちゃって片岡祐介」とかをやってみたり。初対面の方々ですが、皆さん抵抗なく音楽に参加して下さります。低音の太鼓が鳴ると耳を塞ぐ人がいたので、低音は時々、こっそりにしていたら、あまり耳を塞がなくなって、最後の方は結構低音入れたのですが、全然塞がなく、慣れるのには時間がかかるものだなぁ、と思いました。こちらも人見知りなので、皆さんと距離をとって演奏していて、途中はエレクトーンを演奏して、少し離れたところで伴奏的な役割をしていましたが、最後に、ちょっと距離が近くなり、一人ひとりとコンタクトをとりながら演奏することができて、面白かったです。こうした集団セッションは、準備する楽器の組み合わせによって、音量が不均質過ぎたり、音の重なり合いのストライクゾーンが広かったり狭かったりするのです。今回でメンバーのキャラクターも少し見えましたし、施設にある楽器、施設の空間の響き具合も把握でしたので、次回は楽器をしっかり選んで、より特色を出せるなぁ、と思いました。片岡祐介さんとの共著「即興演奏ってどうやるの」を再読して勉強せねば。

夕方は、竹澤悦子さんとの「狸囃子」のリハーサル。竹澤さんは、実力派の地歌箏曲家。クロノスカルテットとの共演、テリー・ライリー、ジョン・ケージ高橋悠治作品など現代音楽の演奏もし、ジャズの板橋文夫とのデュオもする。古典、現代、即興と幅広く活動していますが、一本筋が通った芯のある音楽家です。地歌「へちま」を作曲するなど、作曲家としてもご活躍。竹澤さんの委嘱で書き下ろした新作「狸囃子」は20分を超える大作。本日も、スカイプで竹澤さんとのリハーサル。作曲家としては、これほど表現力がある演奏家に演奏してもらえることは喜びであり、もっと要求するとかなえて下さるので、色々、提案していきます。一緒に音楽をつくっています。