野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

クチン2日目

ボルネオ島のクチンにて、北斎バンドの国際交流企画2日目。本日は、1時間ほど山奥に行ったArthur Bormanという楽器をつくる音楽家の村を訪ねる予定が、大雨のため土砂崩れなどがあり、道がふさがり中止に。残念だが、安全第1。

よって、町中観光。クチンのウォーターフロント、マーケットなどを巡る。昨日のダヤック文化財団で見た楽器を求めて買い物。トゥントゥンという楽器を見つけて購入。

ホテルに戻って休息の後、北斎バンドのリハーサル。竹澤悦子の箏、元永拓の尺八の音色に、尾引浩志のイギル、片岡祐介の木琴が加わるサウンドは最強。この方々に自作を演奏してもらえるのは、作曲家として本当に幸せ。「富士越龍」(南の北斎)は、もともとジャワ・ガムランが江戸時代に日本に伝わったらどんな風に変化しただろうか、という想定で作曲した曲。この曲に、インドネシアのスボウォさん、タイのアナンさんがボーカルで加わってもらったところ、これが本当に素晴らしかった。東南アジアのインスピレーションで作った邦楽器での曲に、再び東南アジアの音楽家が声を足して、東南アジアと日本がハイブリッドに融合した音楽が立ち上がる。多民族共存の音楽が、マレーシアで実現できていることが、本当に嬉しい。

「潮干狩」(マイナーバンド)を練習していると、ホテルのオーナーが挨拶に来られる。オーナー夫人がなんと日本人の方。せっかくなので、「北斎序曲」の練習を聴いていただく。口琴のデモンストレーションから、あいのてさんの「石テクノ」のように展開して即興セッションが始まる。アナン、スボウォの東南アジアの達人、竹澤、元永の邦楽の名手が、絶妙な演奏で加わってくる。クチンでのコーディネーターで美術家のアシュリーがサペ(弦楽器)を持って来てくれたので、サペとお箏の静かな即興セッションに、ぼくも買ったばかりのトゥントゥンで参加。

夜は町に繰り出し、夕食を楽しみ交流が深まっていく。明日は、サラワク文化村を訪ねます。