野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

樹的可能

台中のホテルをチャックアウトし、市バスと徒歩で国立自然科学博物館に行く。思った以上に巨大な博物館。一日で全部を見るのは不可能。鍼灸、古代の天文儀、漢方、大理石、恐竜、巨大な鐘楽器など、次々に繰り出される展示に大喜びの妻。中国4000年の歴史のエッセンス。凄い。スペースにゆとりがあって、開放的。また来たい、この博物館。

途中で再入場できることを確認の上、近所の素食の店でランチをすませる。これが美味しくテンションがあがる。再び、巨大な博物館の中へ。展示室が広過ぎて、ほとんど迷子になりながら、次々に圧倒される。ロンドンのNatural History Museumも良かったが、ここも素晴らしい。多数の親子連れが来ている。台湾人は勉強熱心だ。

ぼくも、小学生時代、名古屋市科学館の天文クラブに入会していた。毎月プラネタリウムで違ったメニューで天文を教わるのと、売店でカールを購入して食べるのが楽しみだった。9階まであった当時の名古屋市科学館の展示を無料で見られる特典がついていたので、勿体ないから、毎回律儀に全展示を見てから帰っていた。展示内容は、ほぼ全部覚えてしまっていて、何も目新しくなかったのに、毎回見ていたものだ。

4時間くらいかけても展示の半分も見られなかったので、附属の植物温室に行くこともなく、動物園に行くこともなく、自然科学博物館を退出。駅に向かうバスに乗る前に、あっさり味の台湾スイーツでおやつ。市バス、ローカル線、新幹線、地下鉄と乗り継ぎ、高雄の友人メイのお宅へ。メイは作家/ライター。以前、台湾の雑誌に、記事を書いてもらったこともある。半年ぶりの再会。猫のカカとムムも元気だ。ビビアンが引っ越して来て同居しているらしい。

何でも、メイとビビアンは、近々、新しいスペースをオープンするらしい。1階が雑貨屋さん、2階がギャラリー、3階がワークショップスペース。かつて、高雄は産業都市で、文化がないと言われていた。メイも台北で学び、故郷の高雄に戻って来ないつもりだった。ところが、現在、高雄では、少しずつ文化的なことが始まっており、こうした場づくりが必要と感じて、10月オープンを目指している。スペースの名前は、「樹的可能」。一本の木だけでは無力でも、樹々が土地に根をはり、互いに協力したり、交感し合うことで、森になっていく。ムーブメントが起こる。そうした願いをこめて、「樹的可能」という名前をつけた。このスペースがオープンしたら、演奏会をしようと約束すると、メイとビビアンは大喜び。

アメリカで学び、外資系企業で働いているジュディが、クラリネット奏者の友人を連れて訪ねてくる。何でも、ウィーンでクラリネットを7年間学んだそうで、今はクラリネットを教えているらしい。野村誠野村幸弘の映像作品「高雄生活藝術」を見て、興味を持って訪ねてきたらしい。ビビアンの料理で夕食の後、台湾コーヒーの店に行きお茶を楽しんだ後、夜市に出かける。