野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

天才は普通の人

今日は、3月16日の「千住だじゃれ音楽祭」のチラシに載せる文章の作文をしました。400字程度で、この盛り沢山なコンサートについて語るのは、本当に大変で、書いては消し、書いては消し、とやって、何とか書き上げる。

書き上げると、ダンサーとデザイナーのご夫婦が訪ねて来て、我が家で火鉢で鍋をしました。畑の収穫もいっぱい食べました。

天体望遠鏡を覗いたことがないと言うので、木星プレアデス星団も観測。電気の代償に、この美しい星空を失ってるんだね、と言いながら。

本日の鍋での明言は、

人は天才を(なかなか)見抜けない。なぜなら、天才であればあるほど、(自然体になって)普通に見えるから。でも、普通であることは、難しい。

確かに、達人になればなるほど、力が抜けて、何でも楽して簡単そうにやってしまうので、凄いことをやっているように見えないのです。だから、達人はカリスマというよりも、普通の人に見えるのです。そんな位に、力が抜ける域までいきたいですね。

鍵ハモトリオの15曲連載 第14回 南川弥生「Moon rainbow」

この曲の展開は、本当に予想できませんでした。冒頭から譜面を数小節読んで、ああ、多分、こういう曲調で進むのだろうな、と続きを予想した瞬間に、意外な展開が訪れます。そして、しばらく、その曲調で進行していくのですが、この調子で進むと思った途端に、またまた、意外な展開が来るのです。3分間なのに、起承転結どころか、「起→転→転→転→転→結」なのです。心地よい曲調に油断した頃に、突然に転換が訪れるのです。これは、この作曲家の独特の感性なのだと思います。ですから、無調なのに不思議なほどポップで、急な転換に、最後まで予想を裏切られるのです。意外性のあるストーリーなのです。多面性のある作品で、虹のような多彩な色です。

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