野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Hugh Nankivellのワークショップその1

今日は、池田邦太郎さんの企画で、ヒューのワークショップを開催しました。まずは、池田さんの友人を何人か集めて、そこに野村の知人が数人加わった小さな集まりです。

今日やったのは、

1)「ハギワカ」というゲーム、これは、以前ヒューから教わった「スイッチ」というゲーム。「スイッチ」という合図の代わりに、今日、その場で参加した人で考えた魔法の言葉「ハギワカ」で、やりました。「スイッチ」というゲームは、単なるゲームなのですが、それを何度も続けたり、2つのグループに分かれてやったり、目をつぶってやったり、いろいろなヴァリエーションをやって、そういうヴァリエーションの提案を、そこにいる人に尋ねてみたりして、やっていくのが、ヒューらしい。無理をしないで、でも、展開していくところがいいし、以前、彼が日本で「スイッチ」をやった時よりも、深まっている感じだ。

2)新聞の帽子の合唱。新聞紙で折り紙をして、「これは、何?」と尋ねる。「帽子」と返答。「じゃあ、この帽子の歌を作ろうか、言葉でも、メロディーでも、リズムでも、何でもいい」と質問。「Hat!」と叫ぶ声、それをみんなでやってみる。「じゃあ、この続きは?」、「ぼーし」という短いメロディー。それをみんなで歌う。「何回繰り返す?」「3回」「じゃあ、ここまで続けてやってみよう」。「じゃあ、その次は?」、「しんぶんしー」というメロディーが出る。「今度は、何回繰り返す?」「5回」「じゃあ、この3つを続けてやってみよう」「じゃあ、最後は、どうやって終わる?」「かわいいねー」というメロディー。「何回?」「1回だけ」。こんな風にして、短い歌ができる。これで、5分で歌ができたとも言えるし、ま、5分でできる程度の歌でしかない、とも言える。でも、ここからが、面白かった。これを、アレンジしていく作業だ。「2グループで輪唱みたいにやってみる?」やってみる。なかなかいいね。「じゃあ、一人ひとりバラバラにずれてやってみる?」やってみる、ますます面白い。「もっと、提案ある?」「各自、好きな順番でやってみよう」そうやってやってみると、これが、かなり複雑で響きも面白い合唱曲になっていた。質問を繰り返しているうちに、いつの間にか。。。。新聞紙の折り紙で、帽子がいつの間にかTシャツになったり、雨の音も良かった。

3)「ミュージカルテニス」というゲーム。これも、ヒューがコミュニティミュージックの本に書いていたので、内容は知っていた。そして、これは、リズムやコミュニケーションを楽しむゲームとしては、面白いし、それ以上の可能性は感じていなかった。でも、これを手拍子と指をパッチンと弾く音の二つの音でやっていたのを、各自が二つの音を選んでやって、それがいくつものペアが重なりあって、そこに即興をするソリストを加えてやると、これは一つのオーケストラ曲になっていて、指揮者がいるけど、それぞれのペア同士でやりあって演奏する。三輪眞弘さんの「4ビット・ガムラン」と限りなく近い。ゲームだと思ってたけど、これも作曲だったんだ、彼は一貫して作曲家だ、と改めて思った。

というのが、今日の内容。今日は、みんなが楽器など音の出る物を持ってきていない状態で、声と身体くらいしかなかったので、逆にシンプルに音楽ができてよかったかもしれません。

ヒューのイギリスで3、4歳児でやったピアノの即興の映像を見たり、早川元啓さんと池田邦太郎さんがヴァイオリンで、ヒューがヴィオラでのストリングトリオの即興セッションなど、いろいろな交流もありました。

ということで、

1月12日荒川区生涯学習センター/東京)には、一般に公募している
ワークショップ「Hughさんと即興で音楽とダンスをつくる」
があります。

ダンサーの新井英夫さんと野村誠で共同企画のワークショップです。今日は2時間でこれだけ面白かったので、この日は4時間ですし、1週間後は、ヒューも東京の色んなアーティストとのセッションを経た後ですし、すごいことになっていると思います。場合によっては、これを機会に新たなプロジェクトに発展するかもしれません。まずは、関心のある方、ぜひ、参加してみてください。音楽とダンスが交差するワークショップを、ヒューと新井さんと野村と参加者で探求する場になります。終了後は、どこか安いお店に行って、さらにトークセッションも続けられたら、と思っています。かなりお薦めです。

まだ、定員まで、余裕があります。お早めにお申し込みください。

講師:Hugh Nankivell

世話人:新井英夫、野村誠

時間:14:00−18:00

会場:荒川区生涯学習センター

参加費:2000円

定員:25名

申し込みは、こちらにメールで
postworkshop@yahoo.co.jp
(野村)

ヒューからのメッセージ

踊りたい気分になることは多い。時には、キッチンで子どもたちと料理をしながら踊ったりする。ピアノを弾けば指が踊るし、ヴィオラを弾くと、色んなスピードで指は踊る。思ったように動けないけど、踊るのは楽しいし、踊ると、お尻も動く。お尻をピアノにのせるもいい。子どもだったら、余計なことを考えずに、踊り、歌い、遊ぶけど、大人になると、踊ったり、歌ったり、遊んだりしなくなる人もいる。でも、今日のワークショップでは、踊って、遊んで、音楽する。皆さん、ぜひお越し下さい。