野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

18分でチケットがなくなった「プールの音楽会」

「あいちトリエンナーレ」委嘱作品「プールの音楽会」を世界初演しました。予定通りの快晴。雲もほとんどなし。暑い。にも関わらず、整理券の配布が始まって、18分で定員に達したため、多くの方が来場できなかったという超人気プログラムで、2回公演とも満席でした。

水にぬれても構わないと、プールサイドの水際までノリ出して鑑賞してくれるお客さんたち。とても良い雰囲気で音楽会を行うことができました。

青い水と青い空が、印象的でした。水しぶきなど、ビジュアルにも美しいロケーションでした。

体育系/文化系というジャンル分けにははまらない、体育系の芸術プロジェクトで、筋肉痛になりましたし、通常の倍くらいお腹がすきました。

ペットボトルというのは、普段は中に液体(水/ジュースなど)が入り、外は空気なのですが、本日は中が空気で外が水(液体)でした。内外が逆転して、ペットボトルも混乱したことでしょう。

「バタフライとゴジラ」で、ぼくの泳ぎを人前に見せました。小中学校と体育の時間に一度も評価されたことのない泳ぎに、「素晴らしかった」、「映画のようだった」、「美しかった」、「笑えた」など評価を受けました。ぼくの人生の中で、自分の泳ぎに価値を見出された初の体験でした。やってみたくて入れた演目でしたが、自分自身が泳いでいるので、客観的に見られない/聞けないので、お客さんにどのように受け取られるか、予想がつかなかったのですが。溺れるような泳ぎに、人は感動するのだなぁ、と驚き、嬉しく思いました。

「バタ足クインテット」は、水中に譜面台を立てて、二人の指揮者を置いてやりました。指揮をしながら音源が近づいてきたり、遠ざかっていくというのは、初の体験でした。「プールの音楽会」は、音源が移動するところが、非常に特徴的です。

水中リコーダーは、本当に良い音でした。

この作品、ぼく自身が体力があるうちに、再びチャンスがあれば、さらに発展したバージョンを上演できるし、やりたいです。アップライトピアノを水に入れるというアイディアも、実は、2005年の横浜トリエンナーレの時も、プランの一つとして提案しているのですが、未だ実現せず。本日、見に来られた調律師の上野さんから、次回はぜひピアノを入れて欲しいと、言われました。

お客さんが熱中症にならないか、に一番、気を使いました。打ち水をしたり、日傘や水分補給などをお願いしたり。それにしても、こんな暑い中に、妊婦の人が何人も見に来たり、小さな子ども連れで来たり、スタッフは多いに心配しましたが、それでも、無事に終わることができました。

皆様、本当にお疲れさま。

トリエンナーレtwitterにあがっていた写真を転載します。