野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Rawthorpe Junior School

HuddersfieldのRawthorpe Junior Schoolに来ました。94年の秋に、ここの小学校でやっているHugh Nankivellのワークショップを見て、95年にヒューがこの小学校の子どもと1年かけて作った音楽劇を、Lawrence Batley Theatreで見て、98年に久しぶりにヒューを訪ねた時に、ヒューがこの小学校を会場にして、夜に親子を集めてワークショップをしていた学校で、ここに来るのは、それ以来、11年ぶり。

詩人のPeter Spaffordが2年間、この小学校にアーティスト・イン・レジデンスで来ています。健康関係の助成金で、精神の健康を保つためのプロジェクトとして、アーティストが2年間、毎週2回、小学校に来ているというわけです。

PeterとHughは、東京の「歌の住む家」というプロジェクトにインスピレーションを得て、昨日から、「The House Where Songs Live」というワークショップを小学生とやっている。門限ズの逆空耳作詞を導入し、以下のような歌詞の歌になった。

紙がいるCome here you、トイレをToilet roll、流すNan asked you、便所へいこうEnjoy the echo   
朝は歯みがきA sour ham gherkin、体をあらおうKangaroo arrow、お風呂でごしごしoff-road day wash wash、泡、泡、泡Ow ow ow
泡風呂いいねEyebrow email、石けんどこSinking duck oh、お風呂からOh fooled carrot、あがろI don't know

他にも、色々な歌が作られた。

冬の旅〜世界に認められる一音

 新大阪のスペースココで、「野村誠の旅する音楽 春夏秋冬」の最終回、冬。今日は、なんだかヒューとの1ヶ月について話したり、地名の話でブラックプールの話をしたりした。これまでは、話していて、どんどんテンションが上がってくるようなところもあったと思うけど、今日は、やっぱりヒューとの1ヶ月が終わって、クールダウンな気持ちも強いので、話のテンションが高揚することもなく、淡々と進んだような気がする。そういう意味でも、冬っぽい。


 1曲目は、ヒューとの1ヶ月を思いながら、ピアノを弾くようにと言われ、2曲目はブラックプールを思い描いてピアノを弾くように言われた。4回合わせて8曲の即興をしたわけだが、今度、この8曲を聞き返してみて、8つのピアノ曲として再構成したい、という気持ちも生まれてきた。

 
 ワークショップが面白かった。ヒューが相撲を見に行った話から、相撲をテーマに即興演奏。相撲というのは、勝負はたったの10秒程度で終わってしまうが、その10秒にかけるために、3分くらい塩をまいたりして、集中力を高めていって、最初の瞬間に全精力を傾けるところ。そこで、3分間音を出さずに集中して、最初の一音に向けて準備して、「はっけよいのこった」の合図とともに10秒だけ演奏してもらう、というのをやった。この3分間の長い沈黙の間、各自の頭の中では、最初の一音をイメージしていて、でも、たった10秒でそれを表現していく、これが面白かった。相撲というものの本質を、初めて体験したような気がした。 最後に、「キーボード・コレオグラフィー・コレクション」のApproaches17に取り組んだ。世界に認められる一音。

小学校の先生向けのDVD

朝、ホテルでヒューと別れる。12月26日に長崎で会って、今日が1月25日。1ヶ月間、毎日彼と過ごしてきた。明日から彼のボケにつっこまなくていいか、と思うと寂しいが、5ヶ月後にはイギリスで再会するので、まぁ、しばしのお別れ。1ヶ月間、おつかれさまでした。


 昨年まで平盛小学校の先生で、今年から別の小学校に移った糸井登先生の監修する小学校の先生向けのDVDの撮影のために、京都橘大学に行く。
 小学校の先生が教室でできる音楽ゲームのようなものをまとめたDVDを作りたい、ということだったので、今日は一日、ミュージシャンとしての自分の能力は、基本的に封印して、やってみることに。楽器も極力使わずに、やってみた。


 午前中、約2時間。机を叩いたり、足をバタバタしたり、から始まって、本をパタンと閉じるBookologyもやった。このBookologyは、単に手拍子を回したりするより、相当音の変化が面白くて、耳に楽しい。これで、色んなリズムを演奏してみた。試しに何かの曲を演奏するつもりで演奏すると、本をパタンパタンとしているだけなのに、なんだか、そういうピッチに聞こえてくる。
 ということで、急に思いついて、曲名当てクイズをやった。「どんぐりころころ」とか簡単なメロディーでクイズをやるが、まぁ、リズム以外は表現できないので、まぁ、なかなか当たらない。ぼくが当てる番になった。最初「ロンドン橋」だと思った。6小節目までは、リズムからいって間違いないと思った。ところが、7小節目でリズムが違ったので、これは、どうも違う。とっさに「メリーさんの羊」と答えたら、正解。これ、DVDを見る人はやらせだと思うでしょうけど、、、。
 あらためて、この2曲を比べてみると、6小節目までリズムが同じなだけでなく、2つの曲を同時演奏すると、ハーモニーとしても、かなり良さそうで、突然2部合唱をした。で、曲の途中でも合図が出たら、二つの曲が交代するゲームをすることに。


 すると、「もしもし亀よ」と「浦島太郎」が同じリズムだ、という話もあった。この二つは全く同じリズムなのだが、歌詞もメロディーも違う。でも、リズムはユニゾン。そこで、替え歌をして、替えメロディーをすれば、オリジナル曲の作詞・作曲ができる、というのをやってみた。いい歌ができた。


 午後は、ヒューにちなんで「これじゃない」と「スイッチ」をやってみる。「スイッチ」は、声でしりとりしながら動きも混ぜながらやる高度なバージョンも試みた。
 それから、糸井さんの小学校に初めて来た時のことを思い出し、アフリカの人に教わった変拍子の手遊び、ヒューから教わったルイジアナの手遊び、そして、ガーナの人に教わったリズム遊びをしてみた。

 
 このまま、いつまでも楽器を使わずに最後まで行ってしまいそうだったので、14:30過ぎくらいになって、少し楽器も使いませんか、と糸井さん。では、と楽器を出す。まずは、赤羽台西小学校でやった「疲れたから、お休みなさい」をやってみるが、それに改良案がついて、「手拍子→楽器→休み→楽器→声→休み」という構成になった。2回目の楽器の時に、1回目とは違った楽器をする。


 それから、短い即興にタイトルをつけて、作曲する、というのもやってみた。さらに、楽器でやる「だるまさんが転んだ」をやったが、これは、ピアノ協奏曲「だるまさん作曲中」でやって以来、久しぶりにやった。昔、YCAMがまだできない頃、山口で子どもとやって以来かも。みんなが瞬時に音を止める能力に、感動。遊びだと思うと、こんなにきれいに、音ってミュートできるのか。


 ミュートにちなんで、いすとりゲームで負けた人が演奏する「いすとりゲーム」もやった。


 最後に、一人ずつが順番に一音ずつ鳴らしていって、席替えしながらシャッフルするのをやってみた。これはイギリスのベルリンギングの逆。音の順番は入れ替わらないけど、場所が入れ替わっていく。そしたら、参加している学生から、これをみんなで背を向け合って、耳だけを頼りにやってみよう、ということになった。このゲームは、ゲームとして楽しかったのだが、音として、とても良かったし、リズムのずっこけ具合も良かった。


 今回の撮影に関しては、録音のスタッフをきちんとして欲しい、というぼくの要望に応えてもらえたので、映像だけど、音の魅力を伝えられるものにはなったと思う。
  

 今日は撮影にあたって、「音楽ってどうやるの」に書いた内容は、一切やらないつもりでいた。だって、そっちは本が既に出ているし、、、。また、「あいのて」で紹介した内容も、基本的にはやらないつもりでいた。
 で、「ホエールトーン・オペラ」の楽譜集と「キーボード・コレオグラフィー・コレクション」を持っていっていた。ネタに困ったら見ようと思っていた。ネタが尽きないうちに、撮影の時間は終わってしまいました。
 野村誠じゃないとできないことを極力避けて、学校の先生がそのまま実践できることを選んでやってみたつもりで、そういう拘束の中で、一日過ごしたのは珍しい体験で、ある意味、休暇のような楽しい一日で、疲れがとれました。


 糸井先生、橘大の池田先生、学生さん、撮影スタッフの皆さん、おつかれさまでした。

ヒューのワークショップ

1月12日のヒュー・ナンキヴェルのワークショップですが、申し込み多数により、本日を持ちまして、〆切ました。これで、東京での1月10日、11日、12日ともワークショップの参加者がいっぱいになりました。

1月14日〜のえずこホール宮城県仙南)のワークショップは、多分、まだ空きがあると思いますので、そちらをどうぞ。

1月14日(水)〜18(日)平日は19:00〜21:00 土日は10:00〜18:00 最終日は発表会(14:00開演、入場無料)
参加費(5日間通し)大人1,000円、学生500円
講師:ヒュー・ナンキヴェル、野村誠、佐久間新(ジャワ舞踊)
定員:音楽・ダンス各15名(先着順)
お申し込み・お問い合わせ:えずこホール(0224-52-3004、info@ezuko.com)
http://www.ezuko.com/info/business/keyboard/

ヒューが柏木演劇ワークショップへ

ヒューが横浜で、柏木陽さんのやっている高校生の演劇ワークショップに、ゲスト講師として参加しました。

ヒューのワークショップは2時間。

1)最初に、簡単なリズムと名前を呼び合うゲームをやり
2)4人組でやるルイジアナの手遊びをやり
3)声をめいめいに「あーー」、「んーーー」、「えーー」と響かせるのをやり、

で、目をつぶってこれを始めたら、これが、本当に長い時間続きました。それを長時間続けて、その後、高校生たちにどんなイメージがしたかを説明してもらうのを、片言の英語にボディランゲージをいっぱいで、説明してもらいました。これが、まさしく演劇でした。

4)3)と同じことを、円の真ん中に寝て目をつぶっている人に聞かせる、という形でやった

これをやってみて、ヒューの問いは、自分たちだけで目をつぶって集中してやった時に、演奏者同士ですごく聞き合って関係があったけど、聞かせる相手(観客)がいることで、観客とのコミュニケーションを意識し過ぎて、今度は、演奏者同士で聞き合うことが薄くなっていくこと、、についてでした。

5)グループごとに言葉を使わずに、声と身体を使った1分の音と関係性と聴くということに関する作品を作ってもらう

これも、各グループ面白かったです。

(注)時間がないから聞かなかったけど、ヒューが時間があったら聞いただろう問いは、グループで創作する時、意見を全く言わなかった人がいたかとか、誰かがその場を仕切っていたか、とか、その場で作っていた人が全員楽しかったと思うか、などということを、各自、自分に問うてみてください、ということでした。別に答えがあるわけではないけど、そうしたことを考える、ということは、有効な問いだと思う、、と。

でも、それに付け加えて、日本では、鍋とか雑魚寝とか色々体験して、他人とシェアすることが、多分、イギリス人より上手だから、グループワークもイギリス人より得意なような気がする、とヒュー。

6)最後に、ヴィオラと、ぼくの鍵ハモの即興をしておしまい。

1月12日の即興ダンス+音楽ワークショップ

現在、定員25名のところ、20名の応募です。残りわずかなので、興味のある人は、お早めにお申し込みください。

Hugh Nankivellのワークショップその1

今日は、池田邦太郎さんの企画で、ヒューのワークショップを開催しました。まずは、池田さんの友人を何人か集めて、そこに野村の知人が数人加わった小さな集まりです。

今日やったのは、

1)「ハギワカ」というゲーム、これは、以前ヒューから教わった「スイッチ」というゲーム。「スイッチ」という合図の代わりに、今日、その場で参加した人で考えた魔法の言葉「ハギワカ」で、やりました。「スイッチ」というゲームは、単なるゲームなのですが、それを何度も続けたり、2つのグループに分かれてやったり、目をつぶってやったり、いろいろなヴァリエーションをやって、そういうヴァリエーションの提案を、そこにいる人に尋ねてみたりして、やっていくのが、ヒューらしい。無理をしないで、でも、展開していくところがいいし、以前、彼が日本で「スイッチ」をやった時よりも、深まっている感じだ。

2)新聞の帽子の合唱。新聞紙で折り紙をして、「これは、何?」と尋ねる。「帽子」と返答。「じゃあ、この帽子の歌を作ろうか、言葉でも、メロディーでも、リズムでも、何でもいい」と質問。「Hat!」と叫ぶ声、それをみんなでやってみる。「じゃあ、この続きは?」、「ぼーし」という短いメロディー。それをみんなで歌う。「何回繰り返す?」「3回」「じゃあ、ここまで続けてやってみよう」。「じゃあ、その次は?」、「しんぶんしー」というメロディーが出る。「今度は、何回繰り返す?」「5回」「じゃあ、この3つを続けてやってみよう」「じゃあ、最後は、どうやって終わる?」「かわいいねー」というメロディー。「何回?」「1回だけ」。こんな風にして、短い歌ができる。これで、5分で歌ができたとも言えるし、ま、5分でできる程度の歌でしかない、とも言える。でも、ここからが、面白かった。これを、アレンジしていく作業だ。「2グループで輪唱みたいにやってみる?」やってみる。なかなかいいね。「じゃあ、一人ひとりバラバラにずれてやってみる?」やってみる、ますます面白い。「もっと、提案ある?」「各自、好きな順番でやってみよう」そうやってやってみると、これが、かなり複雑で響きも面白い合唱曲になっていた。質問を繰り返しているうちに、いつの間にか。。。。新聞紙の折り紙で、帽子がいつの間にかTシャツになったり、雨の音も良かった。

3)「ミュージカルテニス」というゲーム。これも、ヒューがコミュニティミュージックの本に書いていたので、内容は知っていた。そして、これは、リズムやコミュニケーションを楽しむゲームとしては、面白いし、それ以上の可能性は感じていなかった。でも、これを手拍子と指をパッチンと弾く音の二つの音でやっていたのを、各自が二つの音を選んでやって、それがいくつものペアが重なりあって、そこに即興をするソリストを加えてやると、これは一つのオーケストラ曲になっていて、指揮者がいるけど、それぞれのペア同士でやりあって演奏する。三輪眞弘さんの「4ビット・ガムラン」と限りなく近い。ゲームだと思ってたけど、これも作曲だったんだ、彼は一貫して作曲家だ、と改めて思った。

というのが、今日の内容。今日は、みんなが楽器など音の出る物を持ってきていない状態で、声と身体くらいしかなかったので、逆にシンプルに音楽ができてよかったかもしれません。

ヒューのイギリスで3、4歳児でやったピアノの即興の映像を見たり、早川元啓さんと池田邦太郎さんがヴァイオリンで、ヒューがヴィオラでのストリングトリオの即興セッションなど、いろいろな交流もありました。

ということで、

1月12日荒川区生涯学習センター/東京)には、一般に公募している
ワークショップ「Hughさんと即興で音楽とダンスをつくる」
があります。

ダンサーの新井英夫さんと野村誠で共同企画のワークショップです。今日は2時間でこれだけ面白かったので、この日は4時間ですし、1週間後は、ヒューも東京の色んなアーティストとのセッションを経た後ですし、すごいことになっていると思います。場合によっては、これを機会に新たなプロジェクトに発展するかもしれません。まずは、関心のある方、ぜひ、参加してみてください。音楽とダンスが交差するワークショップを、ヒューと新井さんと野村と参加者で探求する場になります。終了後は、どこか安いお店に行って、さらにトークセッションも続けられたら、と思っています。かなりお薦めです。

まだ、定員まで、余裕があります。お早めにお申し込みください。

講師:Hugh Nankivell

世話人:新井英夫、野村誠

時間:14:00−18:00

会場:荒川区生涯学習センター

参加費:2000円

定員:25名

申し込みは、こちらにメールで
postworkshop@yahoo.co.jp
(野村)

ヒューからのメッセージ

踊りたい気分になることは多い。時には、キッチンで子どもたちと料理をしながら踊ったりする。ピアノを弾けば指が踊るし、ヴィオラを弾くと、色んなスピードで指は踊る。思ったように動けないけど、踊るのは楽しいし、踊ると、お尻も動く。お尻をピアノにのせるもいい。子どもだったら、余計なことを考えずに、踊り、歌い、遊ぶけど、大人になると、踊ったり、歌ったり、遊んだりしなくなる人もいる。でも、今日のワークショップでは、踊って、遊んで、音楽する。皆さん、ぜひお越し下さい。