野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

シスコの絵と熊本の声と音とぼくのピアノ

滋賀県立美術館で7月9日から9月4日まで開催される塔本シスコ展『シスコ・パラダイス』に向けて、音源作成中。とりあえず、ピアノを録音して、その上に、昨日録音したインタビューから切り抜いた言葉を色々重ね、ここで録音した環境音を重ねていく。地道な作業が一日中つづく。まだまだ20%くらいしかできてないけど、方針は見えたかな。

 

 

 

シスコの生まれた土地で/ガチャ・コン打ち合わせ

本日は、塔本シスコ展に向けて、熊本弁の話せる地元の方の声を録音が実現し、3人の方にインタビューをした。里村さんが職場や展覧会を通じて知った人と繋いでくれた。熊本弁だと、こんな言い方するのか、と驚いたし、シスコの絵を見て、ローカルな話題が次々に飛び出して、断然、身近さが増した。ぼくが作曲したピアノ曲に、声と環境音がミックスされる作品になる予定。明日から、その作業に取り組もう。

 

びわ湖・アーティスツ・みんぐる『ガチャ・コン音楽祭』の打ち合わせ。コーディネーターの永尾さん、野田さん、財団の福本さん、山元さんと。昨年、6月にキックオフして、7−9月に”ぐるぐる”の3回の講座をし、10月にイベントをやった。バタバタだったから、今年はじっくり時間をかけてと思ってたのに、喉元過ぎれば熱さを忘れるのか、気がついたら、昨年と同じスケジュール。うーむ。上半期は、”ぐるぐる”のメンバーを集めて、じっくり滋賀をリサーチ。年度の後半でイベントに向けて本格的に準備、くらいのスケジュールだと理想的だなぁ。両方を同時進行だから大変なんだ。今年度は仕方がないけど、慌ただしくなって気づく。うーむ。がんばろう。

 

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香港とのワークショップ

滋賀から帰ってきて、今日は香港とのオンラインワークショップ『CCCD社區音樂合唱團』の2回目。20名ほどの方々と地球温暖化に関する歌を作っていて、ぼくがファシリテーター。英語で喋って、広東語に通訳してもらっている。

 

最初に、ぼくの叩く太鼓に合わせて自由にリズムをとってもらうのが準備体操。続いて、声を「あー」と伸ばしてみる。みんなの声が重なり合い、zoomにより誰かの声が強調されたり聞こえなくなったりしながら、重なってハーモニーが生まれる。なかなか楽しい。特に、香港と日本にいて、こうして声をハモらせるなんて、不思議な感覚になる。

 

前回作った歌を思い出して練習してみるl。その続きを作ってみようということで、全て歌詞は広東語なので、ぼくは歌うのが超大変。ピアノで伴奏しながら、何度も広東語を歌い損ねてしまう。でも、とてもいい歌ができた。

 

今日は、アンデス大正琴という日本の比較的新しい楽器を紹介したりもした。最後は、みんな歌えて、次回がますます楽しみ。

 

土砂降りの雨が夕方にはあがり、畑の雑草をとる。そして、野菜をいっぱい収穫。作曲中の《編む 継ぐ む》の楽譜を少し書き加えたり修正したりする。今月中には完成させたい。

 

JACSHAのリモート会議。7月3日の竹野でのワークショップに向けて。ワークショップのプランができあがる。

 

 

 

 

 

 

 

 

鋳鐘の地蔵/谷口未知さん

『ガチャ・コン音楽祭Vol.2』に向けてのリサーチ。近江鉄道無人駅をいくつか見学して、ツアーライブの可能性などを考える。八日市の鋳鐘の地蔵も訪ねてみた。鉄をつくる時に出る金糞を供養するお地蔵さん。こんな不思議ないわれの地蔵があるとは、東近江が鋳物の土地だなぁ。

 

財団の福本さん、山元さん、コーディネーターの永尾さん、野田さんとリサーチを踏まえて打ち合わせ。リサーチをしていくと、また新たな可能性が出現してくるので、膨らんでいってしまう。でも、予算にも人員にも限りがあるので、現実に落とし込むために、色々調整したり整理していくことになる。そうして整理していく際に、つまらなくなるように整理するのではなく、よりワクワクする自由度が高くなるように制限を加えていけるかが、頭の悩ませどころ。

 

その後、びわ湖ホールに移動し、ヴォーカリストの谷口未知さんと打ち合わせ。「バカがミタカッタ世界」というバンドで活動。伝統的な梵鐘づくりの際に歌われていた仕事歌「たたら節」は、伝承が途絶えてしまっているが、貴重な音源が手に入り、それを谷口さんの感性でアレンジして歌ってもらうことになる。自由に即興的に歌うことが得意とのことなので、どうなるのか楽しみ。いろいろ、楽しくお話をさせていただいた。

 

その後も話し合いは続き、時間切れになって、続きはまたリモート会議で。でも、やっぱり対面で長時間過ごすと、大きく進む。みなさま、お疲れ様。

 

熊本に戻ると、九州の梅雨は、本当に梅雨で、雨が降りまくっていた。

 

 

ガチャ・コン音楽祭Vol.2キックオフ

びわ湖アーティスツみんぐる2022『ガチャ・コン音楽祭Vol.2』のキックオフミーティングが、なないろ(近江鉄道日野駅)で開催。昨年の6月に、ここでキックオフをやった。1年前は四面楚歌とまでは言わないが、ほとんど知らない人の中での開催だったが、昨年少しずつ築き上げた関係があって、今年はアウェイ感が減って、東近江に帰って来たと感じながらの開催。知った顔との再会があるのも嬉しい。と同時に、財団に善積さん、倉石さんという新メンバーも加わり心強い。財団の福本さんからの大枠の説明の後、コーディネーターの野田さん、永尾さんと昨年度を振り返り、今年度の構想を語る。ベトナムのゴング音楽を研究する柳沢英輔さんから、ゴングのことを教えていただくと、打楽器奏者の宮本さんやアシスタントの伊藤さんが興味津々で楽器について質問が繰り広げられたり、郷土文化に詳しい西田さんとの再会があったり。

 

その後、柳沢さんとの7月17日のワークショップ会場予定地のガリバン楽校を下見に行く。ガリバン伝承館も面白いところ。7月のワークショップに関して、柳沢さんと打ち合わせ。その後、竹田神社に行き、打ち合わせ。10月のライブに向けてのご説明。柳沢さんのゴングも竹田神社で少しだけ鳴らしてみる。能舞台を今年も活用させていただくことになりそう。あかね文化ホールにて、あかね児童合唱団の指導者の大橋さんと打ち合わせ。10月のライブで竹田神社の能舞台で子どもたちに歌ってもらう計画。

 

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《踊れ!ベートーヴェン》と26年

《踊れ!ベートーヴェン》を作曲したのは、1年間のイギリス留学を終えた直後の1996年だった。20代の無名作曲家のぼくに、ジャワガムランのための新曲委嘱があり、当時のぼくはガムランの知識は限りなくゼロに近く、この作品をきっかけにガムランインドネシアと深く関わっていくことになった。あれから26年経って、今年、また《踊れ!ベートーヴェン》の再演が決まった。今日は、京都府奈良県の境、木津川市で《踊れ!ベートーヴェン》のリハーサルに参加した。

 

JR奈良線で京都駅から40分ほど行った木津駅でピックアップしていただき、車で15分ほど行く。かつて都があった土地。田舎の田園風景が続き、丘を登って行った先に、寺子屋「やぎや」があった。そこには、ヤギが2頭くつろいでいた。長閑な光景。

 

古民家を改装したスペースは、ぼくが子どもの頃のような光景。畳の上に子どもたちがゴロゴロ寝転がりながら、漫画を読んでいたり、それぞれが勝手に遊んでいたりする。初めて来たのに懐かしい。

 

2018年に始動したミカノハラ・ガムラン・プロジェクトも今年で5年目。初年度は子どもたちと影絵を作り、2年目がダンスをつくり、3年目でコロナになって映像をつくった。今年は集大成とも言える5年目で、創作ガムラン劇をつくっている。その中で、ぼくの《踊れ!ベートーヴェン》も上演してくれるらしい。さっきまでゴロゴロしてた子どもたちが、26年前にインドネシアの子どもたちが歌った場面を歌ってくれ感激(あの頃10歳の子どもが、今では36歳になっているはずだ!)。

 

26年前に作曲した時には、ただただガムランという初めての楽器と格闘するのに必死で、まさか自分が作曲した曲が、こうして4半世紀過ぎて、また演奏されるなんて想像もできなかったなぁ。

 

お茶の産地であるので、新茶をいただき、さらにお茶殻をわさび醤油でいただいた。美味しかったし、楽しかった。

 

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