野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ケンハモ録音/JACSHAてんこ盛/曲目解説/あいのてさん+チャンキー+扇久

草本さんと岡本さんを訪ねる。豊能町の棚田の風景で映像を作成するプロジェクト進行中。先月、撮影した際に、佐久間さんやイウィンさんが踊る中、野村もケンハモを演奏したのだが、風が強く、うまく録音できなかったところもあり、本日、新たに映像に合わせてケンハモを録音したりした。昨日、新たに撮影した映像を見ると、佐久間さんが田んぼの中に入って行って、顔から泥の中にダイブしたり、田んぼの泥の上に寝転がって浮遊しているようになったり、気持ち良さそう。あの後、どうやって車に乗ったり、家に帰ったり、洗濯したりしたのだろう?

 

JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)のミーティング。昨年の城崎国際アートセンターでのレジデンスをもとに、波田野州平さんがつくる映画の上映会の計画。映画を何度上映するのか?上映とセットでトークやワークショップをするのか?そういったことを色々と話し合う。JACSHAは、てんこ盛りの企画になる傾向が強いので、大盛りの量を調整していく作業がいつも必要になる。でも、てんこ盛りになるくらい、やりたいことがいっぱいあるのはいい。

 

《どすこい!シュトックハウゼン》の解説文を書くのに、かなり苦戦。400字という文字数で書くのは、かなり難しいが、リライトにリライトを重ねた結果、解説文も音楽のようになっていった。

 

2007年の大阪のまる食堂でのライブ(尾引浩志、奥田扇久、片岡祐介、チャンキー松本、野村誠)の動画を久しぶりに見て、あまりにノリノリでびっくりした。なんじゃこりゃ。

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先延ばしをし続けると何が生まれてくるのか?

門限ズのウェブサイトを作成中。確認が来て、なかなか良い感じ。まもなく公開予定。

 

《どすこい!シュトックハウゼン》の解説文を書かなければ。なかなか短くまとめられない。

 

野田智子さんと打ち合わせ。びわ湖アーティスツみんぐるのアートプロジェクトの企画について。コロナでパフォーミングアーツ全般に活動が制限されているが、特に制限を受けまくっているのが歌。そこで、電車の車内放送のことを思った。車掌さんや運転手が行う車内放送は、コロナでも相変わらず行われているのは、運転手や車掌が、乗客と違う空間で声を発するからだ。コロナで歌が一番打撃を受けているのだったら、電車の車内放送を活用したいと思った。企画の内容は、来週、場所のリサーチをしてから考える予定。

 

西村彰洋くんとの打ち合わせ。7月に行うコンサートで野村作品を演奏したいとのこと。ピアノソロとしては《Chant for Sleep》(2020)もいいし、ケンハモソロは何か書こうと思っていたので、ケンハモソロの新曲も演奏してもらうことに。

 

スコットランドのJane Bentleyと吉野さつきさんと打ち合わせ。2020年の春の予定だった企画が2020年の夏に延期し、2021年の春に延期し、春は少しだけオンラインでワークショップをし、2021年の夏に延期している。2021年の夏にもイギリスからの入国は難しそうなので、オンラインで開催し、入国できるならば、対面でも何かし、無理ならば、対面の要素は2022年の春に再延期する計画。延期がずっと続いて打ち合わせし続けるのも面白いものだ。初期のプランから、徐々に変更してきていて、新たな境地に達せるかもしれない。先延ばしをし続けているのも悪くない。

 

 

 

 

 

散髪/勝手に企画会議

髪が伸び放題に伸びているので、5月14日ー21日のながらの座・座の企画に向けて散髪に出かける。髪一本一本が自由に好きな方向に伸びていけるように切るゴトウ美髪店で切ってもらうのは、何か特別なマッサージを受けたような感覚でもある。

 

5月14日ー21日の企画について、メールで案内するために作文。

 

計画することも、即興でやることも好きです。作曲することも、現場で臨機応変に対応することも好きです。コロナ禍の今、予測不可能なことが多いので、状況に応じて即興でやることを、開放的な空間で少人数で楽しめる催しを企画しました。1週間の間、どの時間に来られても、野村誠のライブをお楽しみいただけます。演奏だけでなく、ご希望されれば、そこでの生活や創作の様子も見ることができます。見たり聞いたりするのでなく、ご自身が何か参加したいと思われるのであれば、一緒に何かを作ったり奏でたりすることもできます。目的を持って来られるのもよし。目的なしで来られるのもよしです。
 
というのが、企画の趣旨ですが、それよりも何よりも、場所がすごいです。ながらの座・座は、通常非公開の国指定有形文化財の江戸初期の家屋と、滋賀県指定名称の庭園です。文化財に指定されているから凄いのではなく、本当に、ここで時間を過ごすと、光だったり風だったり音だったり、様々な味わいがあって、こういう場所に野村誠が1週間住んでいたら、そこから何が生まれてくるのだろう?という興味から始めた企画でもあります。
 
楽器はいっぱい持ち込みました。でも、ここで過ごしている中で日々発見することがあると思います。そんな発見の現場に偶然居合わせる人もいるかもしれません。ぼくは、作れと言われなくても、日々何かを作ってしまう人間なので、多分、何かを作り始めてしまうでしょう。その時その時の出会いが、また創作に反映されていくことでしょう。
 
観客という言葉が適当なのか、来訪者と言う方がいいのか。滞在期間中の希望の時間帯に、密にならず、最小人数で、野村と対面し、この空間を味わいながら、時間を過ごす。誰も来ない時は、のんびりと制作しているか楽器の練習などをしているかもしれません。茶の湯は密室で最小人数で味わいますが、こちら開放的な大広間とお庭で、お茶やお菓子の準備なくお待ちしております。
 
開催日は、5月14、15、16、18、19、20、21日で、要予約で来られる日時を事前にお知らせください。

 

詳細はこちら
 

坂本公成くん、森裕子さんと久しぶりに話す。 公成くんの姪のさよさんともお話した。里村さんも少し合流。石牟礼道子の話だったり、個人情報の話だったり、コロナの話だったり、色々話をしたけれども、とにかく楽しかった。また、勝手に企画会議をやっていきたい。

 

タイのアナン+インドネシアのメメット

インドネシアのMemet Chairul SlametとタイのAnant Narkkongが参加してのzoomクリエーションの1回目。今年の9月に、「アジアだじゃれ音Line音楽祭」を開催する。それに向けて、こうやってタイやインドネシアのアーティストと、だじゃ研(=だじゃれ音楽研究会)がクリエーションを開始した。

 

オンラインで色々な活動があるので、英語を話すことは結構ある。今日もアナンとのコミュニケーションは英語。しかし、インドネシア語は久しぶりに話した。メメットと話すのがインドネシア語。英語を話したり、インドネシア語を話したり、日本語を話したりしながら進行。

 

即興をしていたら、メメットが印象的なフレーズを吹いたので、そこから練り上げたMr. Memetという曲が本日芽が出た曲。続いて、コタローの鼻笛とエヴェレットのフレクサトーンの組み合わせが面白く、真似をしても似ない対話になり、そこからタンゴに聞こえないタンゴになって、そこにソプラノ、アルト、テノール、バスの新聞の朗読が重なっていくNewspaper Tangoという曲も生まれてきた。最後に、石を鳴らす音楽をやった。インターネットやズームなどのテクノロジーを駆使して、タイとインドネシアと日本とマレーシアをつないで、やっていることが石を打ち鳴らすプリミティブなのが面白い。こんな感じで定期的にオンラインでアジアの国とつないでいくと、面白いことが生まれてきそうで楽しみだ。

 

アナンとメメットと2014年にやった「千住の1010人」がこちら

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2015年、バンコクにアナンを訪ねた「熱タイ音楽隊の1週間」がこちら

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2016年に、ジョグジャにメメットを訪ねた「ジャワに行ってきたんじゃわ」がこちら

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そして、2020年、アナンとメメットもオンラインでつながり行った「世界だじゃれ音Line音楽祭」がこちら

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そして、2021年、アジアだじゃれ音Line音楽祭で、新たなページが開かれる。乞うご期待!!!!

清水・田口・近藤企画/波田野映画

ピアニストの清水友美さん、作曲家の近藤浩平さん、田口雅英さんが、9月19日に大阪でコンサートを企画中で、ぼくも加わることになった。このメンバーでコンサートをしたのは、2018年、ドビュッシー没後100年の日だった。その時は、近藤、田口、野村の3人の作品ばかりのコンサート。ケンハモデュオで、野村の《お酢と納豆》、《Debussy 100》やピアノ連弾で《相撲聞序曲》を共演。

 

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その後、清水さんが茅ヶ崎で「おっぺけぺ祭り」を開催していることを知り、野村作曲の《おっぺけぺーの種を蒔け》をピアノソロに編曲して演奏していただいたいた。清水さんがDVをテーマに演劇などの活動もされているため、野村の《DVがなくなるためのインテルメッツォ(間奏曲)》、《DV撲滅ソング DVカルタを歌にした》などを演奏していただいたりしてきた。ピアノだけでなく、ダンスや歌やラジオDJなど多彩な活動をされる清水さんは、だじゃれ音楽の活動にも最近顔を出すようになった。ということで、作戦会議。3人の作曲家の個性に、清水さんの個性がぶつかる楽しみな企画。

 

朝、四股も踏んだが、夜にJACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)の企画会議。昨年秋の城崎国際アートセンターでのJACSHAレジデンスを波田野州平さんの長編映画として完成させてくれるので、それのお披露目をどうしていくか、など。

 

ちなみに、波田野さんの映画が5月9日まで限定で公開なので、明日こそ見よう。

 

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四股/マセダ/サーカス団/オーケストラ

今日は、ネットでミーティングが色々あった1日だった。

 

一つ目は、四股1000で「野の古典」の音読をしたり、色々な方々の近況を聞きながら、四股を1000回踏んで、体が喜び元気一杯、いぇーい。

 

二つ目は、恩田晃さんとの打ち合わせ。今年の2月にホセ・マセダの《ウドロッ・ウドロッ》を上演する予定だったがコロナで実現せずに延期。コロナの今、数百人や数千人で上演可能なこの作品を上演するって、どういうことなんだろう。マセダがマルコス独裁政権下でマルコス政権の支援を受け、こうした作品を発表していたのは、どういうつもりだったんだろうか?マセダの作品を今ぼくたちはどのように受け止め、どのように解釈するのだろう?そういうことを議論するところから始めたり、疑問を投げかけるところから始めて、この作品を演奏していくプロセスを踏むことはできないだろうか?

 

三つ目は、2019年の夏から、豊島区とピアニストの中川賢一さんが進めている夏休みの子ども企画。ソプラノの鵜木さん、打楽器の野尻さん、ハープの福島さんという強力なメンバーに、豊島の宮本さん、御子柴さんも加わって。クラシックの音楽家たちだが、即興も大好きでワークショップも大好きなメンバー。野村は作曲家/ケンハモ奏者として、交通整理したり、アイディアを出したり、作曲したり、いろいろな関わりができる楽しい場。今年も面白いことにしようと目論み中。昨年は、こんな冒険をした。

 

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四つ目は、柿塚拓真さんから。台湾のオーケストラとイギリスのオーケストラと日本のオーケストラで、高齢者との音楽ワークショップをするプロジェクト。元々、昨年の秋に台湾で行う予定で、オーケストラメンバー以外に作曲家にも入って欲しいとのリクエストでぼくが都合がつかずに、鈴木潤さんにお願いしていた。ところがコロナで延期になって、今年もやる予定が延期になっているらしい。そして、台湾のオーケストラが高齢者施設でワークショップをして、そのワークショップの内容に基づいてその日のうちに新曲を作曲し楽譜を書き、翌日には演奏する、という超無茶ぶりリクエストが台湾から来たそうだ。で、その日程が鈴木潤さんがスケジュールが都合がつかず、ぼくに代役の依頼が戻ってきた。スケジュールがあったので、お引き受けすることに。12時間くらいの間に方針も決めて一曲作曲して譜面を送って、すぐ翌日に台湾の高齢者施設で演奏されるなんて、面白いもんなぁ。

 

瓦の音楽/どすこい!シュトックハウゼン/島袋くん

CD「瓦の音楽」(野村誠+やぶくみこ)が淡路島アートセンターからリリースされたのが、2015年。CDの在庫もなくなり、この度デジタルリリースすることになった。以下のリンクで、オンライン上で聞くこともできるし、購入してダウンロードもできる。様々な瓦を演奏した奇跡のアルバムなのでお楽しみください。

 

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低音デュオのために作曲した新曲《どすこい!シュトックハウゼン》について、松平敬さんのインタビューを受けた。インタビューの様子は編集の後、近々公開になる予定だが、5月19日の演奏会が予定通り開催されるかどうかが、緊急事態宣言の延長などの動向による。無事、開催されることを祈るばかり。作曲中は楽譜の細かいところまで色々考えていたが、その後はこの曲から離れていた。一方、松平さんは演奏会に向けて、この曲を練習されているので、色々突っ込んだ質問が来て、なるほど譜面をよく読んでおられると感動。これは、きっと素晴らしい演奏になるに違いない。超楽しみ。

 

美術家の島袋道浩くんと電話で話す。今年の1月に水野翔子さんが《弓から弓へ》を演奏して、その動画を水野さんから島袋くんに送ってもらったので、その話をしたり、7月に長崎県美術館で展覧会をするようで、それに関する話などを色々した。島袋くんは、相変わらず新しいことを始めたり興味を持ったりしていて、話をしていてもワクワクする話が多い。

 

野村誠年表は2018年を書き終えた。フランス、香港、イギリス、中国と何度も海外に遠征している。コロナ前の世界で、色々外国に足を伸ばしておいてよかった。今年中は日本国内かなぁ。2022年以降は、また外国行きたいなぁ。オンライン会議に慣れて来たから、海外のプロジェクトもコロナ前よりもスムーズになるかも。