野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

重曹はすごい

城崎や淡路島と移動の多い週末だった。洗濯したり、家の掃除をしたり、クリーニングを回収したり、いろいろ家事の1日。家が綺麗になると、創作に向かっていける。重曹でお風呂の水カビと戦う。重曹だけで、こんなに汚れが落ちるのだなぁ、と改めて重曹を見直す。庭のゴーヤを収穫する。猛暑に備えて緑のカーテンができているのに、梅雨あけが遅い。ポーランドのラジオを聴きながらお茶を飲む。自宅で過ごせるのは嬉しい。大相撲の新大関朝乃山は9連勝。8月5日のプレゼンに向けて、自分の過去の活動の写真データを整理中。懐かしいプロジェクトの写真などもある。

 

アーティスト・クロストーク《オンライン》 #01 開催 | アートアクセスあだち 音まち千住の縁

瓦の音楽

日帰りで淡路島に行く。「瓦の音楽」は、2013年に音楽家のやぶくみこさん、NPO法人淡路島アートセンターと始めた。2013年は淡路島をリサーチする中、瓦産業に興味を持ち、瓦を楽器とする「瓦の音楽」を立ち上げ、2014年には、広島市現代美術館で瓦400枚ほどを使ったサウンドインスタレーション「スーパーがっきやね」などを展示。2015年には、CD「瓦の音楽」を発表し、「瓦の音楽」の拠点ともなるスペース琴屋がスタート。2016年にはインドネシアツアーとイタリアツアー。ここまでが怒涛の4年間。

 

2017年以降、淡路島アートセンターが常勤のスタッフがいなくなり、活動が停滞し始める中、年に一度ずつ尼崎市でコンサートを開催。野村とやぶを招聘する予算がない中、有住さんご夫妻や青木さんなど、地元の方々で「瓦の音楽」を継続。2020年に、日本最大の瓦産地の高浜のかわら美術館で「瓦の音楽」コンサートを開催し、初の淡路瓦と三州瓦の共演。

 

こんな中、8月8日の屋根の日のイベントに、再び、「瓦の音楽」が愛知県の高浜のかわら美術館に招聘されることになった。新型コロナウイルスが猛威を奮う中、学芸員の後藤さんの熱い思いがあり、なんとか開催を実現しようと準備が進んでいる。

 

会議ファシリテーターのパイオニアでもある淡路島アートセンターの青木さんの事務所でかわら美術館の後藤さんとオンラインでミーティング。その後、淡路島アートセンターのやまぐちさんや青木家の方々とのランチ。さらに、琴屋にて、有住さん夫妻が加わってのリハーサル。幕末の庄屋で琴屋の由来にもなった古東領左衛門に関する紙芝居が、実は生まれている。地元の人々から最初は怪しまれていた「瓦の音楽」だが、CDを作って冊子を作ったあたりで、だんだん地元の方々が「瓦の音楽」が一つのきっかけとなり、津井活性化委員会を結成し、地元の瓦工場の人々によるプロジェクトが立ち上がっていく。その中で、地元の名士である古東領左衛門に関するリサーチプロジェクトが立ち上がり、登里制瓦の登里さんが原作で、瓦職人さんが紙芝居を描き、地元の音楽家の有住さんがギターで弾き語り、オリジナル紙芝居ができあがり、何度も上演しているとのこと。素晴らしい。リハーサルを、登里さんも見学に来られた。

 

淡路島の津井で活動する方々、京都からプロジェクトに関わる音楽家のやぶさん、野村、そして、三河のかわら美術館、この3者の思いや思惑が結びついて、8月8日のコンサート。2週間後に無事、実現できることを祈り、京都に戻る。

宿題とあそび

四股を1000回踏む「四股1000」を毎日やっていると書いているが、やっちゃんは「佐川流の四股を1000回踏んでいるけど、普通の四股と違って小さく踏むから、それほどハードじゃない」というようなことを言っていると聞く。なるほど、今まで誤解のある表現をしてきたけど、毎朝、佐川流の四股を1000回踏んでいて、合気道の佐川さんが80歳とかでも毎日1000回踏んでいた、という逸話があって、それを高砂部屋マネージャーの一ノ矢さんが実際に踏んでみて、四股の秘密や不思議が次々に明かされていった。それに触発されて、ぼくたちはオンラインで四股を踏んでいる。

 

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先週、新曲「世界をしずめる 踏歌 戸島美喜夫へ」を作曲完成したし、北斎バンドのための新曲の作曲は、7月30日から始める予定なので、今日は、ピアノで即興をしたり、バッハやドビュッシーを弾いたりした。ドビュッシー前奏曲集のBruyeresという曲を弾いてみたら、なんかスターウォーズみたいなメロディーが出てきて、ジョン・ウィリアムズドビュッシーの真似をしたはずなんだけれども、ついつい、スターウォーズが浮かんでしまう。

 

8月5日のNadegata Instant Partyとのオンライントークのための10分プレゼンを準備しようとスライドを作り始める。これまで、自分のプレゼンをするといったら、音楽なので、音源を聞かせたり、動画を見せたり、演奏したり、実際に音楽を体感してもらうことを必ず含めてきた。ところが、YouTubeで配信するとしても、ZOOMで行うトークYouTubeで配信するので、音源や動画をZOOMを通すと解像度が荒くなってしまう。そこで野村のプレゼンでは、音源も動画も使わず、画像と喋りのみで進行してみようと考えた。そう考えて、写真選びを始める。そうすると、普段見せないような写真も使えそう。

 

大阪音大の井口先生と日本センチュリー交響楽団の柿塚さんと「世界のしょうない音楽祭」のZOOM会議に入室しようとしても、なぜか入室できない。メールやメッセンジャーなどでメッセージを送ると、もう会議は終わっていたとのこと。どうやら開始時刻を30分勘違いしていて、ぼくは30分遅刻していて、30分経たないうちに閉会していたらしい。狐につままれたよう。

 

ギタリストの勝野タカシさんとオンラインミーティング。7月29日にアバンギルドにて「宿題とあそび」ライブ配信のための収録をする。新型コロナウイルスでライブハウスは大きな打撃を受けている。勝野さんは、アバンギルドを応援する意味でも、そして自分たちが楽しむ意味でも、ライブ配信で面白いことしたい、とのこと。ライブハウスの入り時刻としては、かなり早い14時入りで、ライブハウス内のいろんな場所で撮影/収録して、最後20時から、本番さながらのライブもするとのこと。動画は編集して、後日配信するらしい。勝野さんは、このライブのための新曲を書き下ろしてた。ぼくもなんか作ろう。久しぶりに勝野さんと思い切り即興したりできるの、楽しみすぎる。

 

室内の観葉植物に葉ダニが発生し、葉ダニ退治を頑張る。春先はコバエ退治に明け暮れて、コバエがホイホイのお世話になった。ツイッターを見てたら、ホーメイ山川冬樹さんもコバエの発生に困ってた。移動の多いミュージシャンは、通常だったら、留守が多いので、コバエや葉ダニと格闘する機会はないかもしれない。新型コロナ禍でステイホームになったからこそ、コバエや葉ダニと格闘できる稀有な機会を得ていると、感謝しつつも心を鬼にして葉ダニを退治する。しかし、虫には悩まされる。

 

「四股1000」での音読ネタがなくなったので、2016年12月6日のJACSHAフォーラムのテープ起こしを始める。JACSHAの今後の展望についてのフォーラムなので、4年前にどのような展望を持っていたのか、興味深い。と書き起こしを進めていくと、明日は、淡路島に行くので、「四股1000」には参加できないことを思い出す。

 

 

Nadegata Instant Partyと野村誠の名づけられない「作品づくり」

城崎国際アートセンターでの2泊3日を終えて、JACSHA制作の里村さんと竹野の町のリサーチ散策して後、京都に戻る。それにしても、城崎もそうだが、竹野の海水浴場やキャンプ場など、観光客がいっぱい来ていて、新型コロナウイルス禍の4連休に、東京や大阪や神戸やいろいろなところから、人々が息抜きにやってくる。観光地の迎える側も、通常よりも配慮することが多く大変なんだろうな、と思う。

 

京都に戻り、Nadegata Instant Party、熊倉純子さん、音まちスタッフの面々とのトークの打ち合わせ。今日の打ち合わせ自体が、もう既に、めちゃくちゃ面白いトークになっていて、どんどんツッコミ合い、テンポよく核心の話が展開していく。8月5日のオンライントークが非常に楽しみ。詳細はこちら

 

アーティスト・クロストーク《オンライン》 #01 開催 | アートアクセスあだち 音まち千住の縁

 

Nadegataの中崎さんは、2003年の野村と川俣正さんのトークを聞きに来ていたようで、ぼくは、NadegataがAI Hallでドミノをしていた時に、AI HALLに砂連尾さんとの打ち合わせか何かで行って、彼らに初めて出会った。Nadegataの山城さんが山口のYCAMで働いていた時に、山城さんが住んでいた「まえまちアートセンター」に宿泊し、その障子に作品を残すように言われて、大友良英さんの4コマ漫画の横に、新曲「まえまちアートセンター」を作曲したところ、その後、中崎さんの提案で、野村作曲「まえまちアートセンター」を演奏してみる、というのをやったらしい。Nadegataの野田さんは、ぼくの天保山サントリーミュージアムでのワークショップを見学したのが出会いらしく、その後、あいちトリエンナーレでスタッフされていた時に、「プールの音楽会」を見てくださっていたようだ。ぼくは、昨年Nadegataの十和田での展示を、まぁ、なんとも形容し難い理解に苦しむ不思議な作品/活動であり、非常に興味を抱くし、もっと話を聞いてみたいと思った。今回、音まち事務局が企画して、熊倉純子さんまで登場して、いろいろ言ってくれるので楽しみ。これまでの活動を総括したり意味を考えたりするだけでなく、まだ体験したことのない未来のアートについて、面白い話ができるだろう。

 

その後、音まち事務局との打ち合わせ。「千住の1010人 in 2020年」に向けて。語っているうちに、「千住の1010人 in 2020年」が「千住の1010人 from 2020年」に成長していく、化けていくイメージが押し寄せてきた。2014年に開催した「千住の1010人」は、足立市場という特定した場所で、10月12日という特定した日付に開催された。2020年の「千住の1010人」は、1箇所だけでなく町全体で開催し空間的に広がりのある企画にしたいと思っていたが、1日限定イベントでなく時間的にも広がりのある企画になり得ると思った。inがfromになり得るのではないか。そんな言葉を考えるだけで、2021年以降にどう結びつけていくか、いろいろアイディアが生まれてくる。2度美味しい、3度美味しい、延々と味わい続ける。2013年に「千住だじゃれ音楽祭第1回定期演奏会 音まち千住の大団縁」を開催した時に、2年間のプロジェクトの集大成なのに、ここが「だじゃれ音楽」の始まりと言ってたけれども、今年の「千住の1010人 in2020年」は「リモートだじゃれ音楽」のキックオフになるから、やっぱり歴史のはじまりになりそうだ。2013年のぼくの言葉を、久しぶりに聞き返してみるか。

 

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JACSHA「すもう✖︎おんがく」半分遠隔ワークショップ初演

豊岡アート縁日で、JACSHA「すもう✖︎おんがく」ワークショップを開催。11:00-11:15, 11:30-11:45, 12:00-12:15の3回。

 

このワークショップは、ZOOMを使って、茨城県坂東市から鶴見幸代、樅山智子の二人の作曲家がモニターに登場し、野村誠は現地の舞台上に登場。野村はその場にいるけど、一言も声を発さず動きや打楽器演奏。逆に、鶴見、樅山は遠隔で喋る。野村は現場で子どもたちの動きに反応して動くけれども、声はかけられないので、身振り、ジェスチャーで一生懸命伝えようとする。鶴見、樅山は遠隔からのコミュニケーションなので、声を張り上げて一生懸命伝えようとする。この異なるディスタンスのあるコミュニケーションが独特の場を作り、自分的には新鮮な体験だった。

 

また、養父のネッテイ相撲という相撲神事、竹野の相撲甚句という民謡を題材にカラダを動かしながらのプログラムを新たに作ったのも印象的。ネッテイ相撲はストップモーションと音を聞くゲームに、竹野相撲甚句は民謡に合わせて楽器を鳴らしながら動く体操になった。

 

今回は、こうした新しいプログラムをつくることができたので、今後、いろいろなところで、この15分のプログラムをやってみたい。スタッフ、関係者の皆様、お疲れ様&ありがとう。

 

夕方は、秋のKIAC(城崎国際アートセンター)でのレジデンスでパフォーマンスの会場候補である竹野こども体験村を訪れる。キャンプをしている家族が何家族もいたり、ドラム缶風呂があったり、炊事をしていたりする。竹野の海の景色も美しく、裏のジャジャ山に登ると見晴らしも素晴らしい。村長の服部さんの案内も愛に溢れている。秋が楽しみ。

 

夜は、森下真樹さん(ダンス)と碓井俊樹さん(ピアノ)によるベートーヴェンの「運命」の通し稽古を見させていただき(26日が本番)、出演者、スタッフの方々ともいろいろ作品について語り合った。本番は見にこられませんが、成功お祈りしております。

JACSHAの半分遠隔ワークショップ

今朝の「四股1000」で、2017年の行司の木村朝之助さん(高砂部屋)とのトークの音読が終わる。新型コロナウイルスの影響で、オンラインで毎日四股を1000回踏むようになったが、その影響で、2016年の一ノ矢さんとのトーク、2017年の木村朝之助さんとのトークを書き起こした。

 

コロナ後、初の外泊。今日から城崎国際アートセンターへ。明日は、豊岡アート縁日に出演する。JACSHA制作の里村真理の運転で、城崎まで移動し、夜は、JACSHAの鶴見幸代、樅山智子とのオンラインリハーサル。明日は、15分のワークショップを3回開催。たったの15分にして、テンポよく進めるプログラム。野村は現地で一切喋らずに心の中で歌い、心の中で喋る。一方、現地にいない樅山と鶴見が、オンラインで喋るし歌う。その場にいる人が声を出さないが、近くで動くことができる。遠くにいる人は、声を出すことができる。こういう半分遠隔ワークショップはおそらく初体験。コンビネーションで、どんなワークショップになるか、大変楽しみ。リハーサルはばっちし。

 

アートセンターには、実はダンサーの森下真樹さんがレジデンス中で、ベートーヴェンの運命で踊る公演を4日後に控えているらしい。森下さん、照明の三浦さん、舞台監督の河内さんなどとも再会。せっかくなので、明日の通し稽古を見学させてもらう予定。

 

 

「世界をしずめる 踏歌 戸島美喜夫へ」を完成

暑くて目が覚める京都になってきた。まもなくクマゼミがシャンシャンうるさい夏が来るのだろう。安眠をどう確保するか、心配だ。今朝の「四股1000」では、初めてエアコンを入れた。さすがにエアコンなしで四股を1000回も踏むと、暑さでやられるかもしれない。abema TVで大相撲序二段の中継を見ながら四股を踏んだ。行司の腰が割れているのが印象的で、四股を踏む姿勢にも影響する。

 

新曲「世界をしずめる 踏歌 戸島美喜夫へ」の作曲は大詰めで、今日は一日中、譜面を微修正し続ける。

 

1 万春楽

2 竹川半首(卯杖の舞)

3 浅縹(扇の舞)

4 オベロベロ

5 何そもそも

 

という構成。

 

雷が鳴り響く夕立。子どもの頃に親から、雷が鳴ると梅雨明けと教わった。このジメジメした梅雨が嫌いで、6月に意識的に海外の予定を入れることが多いのだが、今年は新型コロナウイルスで、どっぷり日本で梅雨を味わった。いよいよ梅雨明けかと思うと嬉しいが、猛暑の京都が待っているのも脅威。

 

夜は、だじゃ研(だじゃれ音楽研究会)と「帰ってきた千住の1010人」をオンラインで試す活動。今日は、「フォト グー ラファー」という全くオンラインを想定していなかった曲が、予想以上にZOOMで効果的で、作曲者自身、驚く。さらに、「だじゃれの村祭り」という曲は、行列になってパレードする曲なので、ZOOMでやるのは不可能と思ったが、工夫次第でカーニバル感を出せたことに感動。よくよく考えたら、リアルの世界で一列に並んで行進したら、実は自分の前後の人しか見えない。でも、列の一部になることができる。ZOOMだと列になれないのに、みんなの姿が見える。この状況をうまく利用しながら、2020年のパレードができるのではないか、と考えた。新型コロナウイルスの感染収束の見込みが立たない今、「千住の1010人 in 2020年」を遠隔でバーチャルで、どんな驚愕の実現の仕方をするのか、ぼくたちに課せられた宿題になっている。ステイホームのホームワークは、なかなか難題だが、難題が出現すればするほど、燃える、気持ちが高ぶる。そして、だじゃ研と色々実験すると、難題だと思ったことが、実はなんでもなかったりするんだ、と勇気づけられる。この10年間培ってきたことの成果を今一番感じる。

 

疲れてうたた寝してしまうが、深夜に里村真理さんにまとめてもらった参考文献リストも付け加えて、新曲「世界をしずめる 踏歌 戸島美喜夫へ」の譜面を完成。山本亜美さんに送信。

 

かつて、実際に1010人集まれる時代にやった「千住の1010人」動画はこちら

 

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